評価:★★★☆☆ 3.3
中三の夏休み。夏期講習の帰り道で、香織は行き倒れを拾った。
行き倒れていたカケルは、大人なのにどこか大人らしくない。
しかも倉庫を自宅にして、絵を描いて暮らしているという変わり者。
おまけになんだかとっても失礼なやつだった。やりたいことも好きなことも見つからないまま、受験勉強を続ける香織。
イケメンな塾講師に淡い恋愛感情を抱いていたが、色々あって最近はそれも停滞気味。香織は怪我の手当てをしてもらったお礼に、カケルの倉庫を再び訪ねる。
それがきっかけとなり、香織はカケルの倉庫に通い始めた。まだ大人じゃない。でも、もう子どもでもない。
ありのままの自分と、背伸びしたい自分。とある北の街での、嘘つきたちの恋の行方は……
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作中の舞台は二〇〇〇年代前半辺りの設定です。
当時は、携帯を持っていてもガラケー一択。
携帯普及率もまだまだ低く、田舎なら尚更。そういう時代背景です。
話数:全15話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
中学生、香織と、カケルとの出会いは、夏の日のとある道端。不器用なやり取りを通して、二人は急速に惹かれていく……(あらすじは作者様の前書きの方が分かりやすいからそちらを見てね!) 五感に来る描写が秀逸で、自然多き真夏の北海道に放り込まれたかの感覚、アトリエでモデルに向き合うような感覚、そして人と相対している感覚、が文字を追うほどに迫ってくる。 大人でも子供でもない香織の瑞々しい感性が、揺れ動く心情を、どこか可愛らしい方言で、読む者にリアルに突きつけてくる。 そしてこちらの思いまで巻き込んでいくかのように、ひと夏を駆け抜けるかのように、柔らかに、しかし力強く物語は流れていく。 出会いと別れ、そして…… 真夏に咲いた一輪の花。 読んでしょや!(誤☆用