評価:★★★★☆ 4.2
紗菜、17歳。生まれて初めて手に入れた携帯電話。友人から教わったはずの電話番号は、見知らぬ大人の男につながった。
機械音痴で純粋すぎる少女と、ちょっとおせっかいな優しい男。顔も知らず住処も判らず、出会ったこともないまま、二人は毎週ことばを交わす。それはとても楽しい時間で、それだけで満足していればよかったのだけど……
明るく能天気で、深刻に切ない。ヤキモキすれ違いラブストーリー。
鳴田るな様主催、雨水ラブコメ企画寄稿作です。
話数:全9話
ジャンル:ラブコメ
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
タイトルに悩みましたけど、多分これがいい。今時珍しい、高校生からのケータイデビュー(おまけに子供用)を果たした主人公、サナ。早速友人との番号交換をするも、聞こえて来たのは全く別の人の声で…みたいなのが出だし。最初に感じたのは、ヒデェーことするやつもいるんだなというもの。しかし、読み進めて行くにつれて、そんなものは消えました。綺麗な世界観と、電話による掛け合いが生むなにかなのか、スラスラと読めます。最後、読み終えた時、あなたを包むのは、暖かく、そして純粋です。ぜひ読んでみてください。この作品は、価値あるものになります。
今日日珍しい純粋さから学校でも浮き気味な少女が生まれて初めて手にした携帯電話。友達に繋がる筈の電話番号を打ち込んだ結果、何故か見知らぬ男性の元に彼女の声は届けられた。そんな偶然から始まる、少女と男性の電話を介した交流。言葉を交わす毎に彼女は次第に彼に惹かれ、そして……本作は純粋な少女のこころを起点とした恋愛ものであり、少女の喜怒哀楽と物語全体の起承転結が密接に絡まった構成になっている。結果として恋愛もの、かつ2万字の短編としては過不足ない仕上がりになっており、ストーリー構築の巧みさを感じさせる。「等身大のピュアな少女」という現代ものではあまり見かけなくなったヒロインの恋物語にニヤニヤしたい方は是非。何時か誰かが言った。「布石が優れた作品は、読み終わった後直ちに初めから読み返したくなる」と。最後までこの作品を読んだあなたも、この物語を初めから振り返ってみたくなるだろう。
間違い電話から始まるちょっと不思議なラブストーリー。初めて携帯電話を手にした時のわくわく感や、好きな人と電話をするあのときめきを思い出させてくれる作品です。今時の女子高生とはちょっと違う純粋な主人公。彼女が好きな人は、なんと間違い電話をしてしまったお相手。知っているのは名前と声だけ。顔も見えない相手だからこそ、もっと色々なことが知りたくて、彼女は彼にとあるお願いをしてしまうのですが……。思い込みが払拭された後は、もう一度最初から読みたくなることうけあいです。そして、見知らぬ電話番号から電話がかかってきたとしても、思わず電話を受けたくなってしまうに違いありません。なお、現実世界では見知らぬ番号からの電話は怪しいセールスだったりすることが多いです。悪い大人がたくさんいますので、安易に住所を伝えたり、自撮り写真を渡してはいけませんよ!
まず、主人公のサナが本当に本当に純粋で健気です! もうそれだけでレビューに値するほどに! そんなサナは念願だった携帯電話を高校二年で手に入れます。(遅い……) その晩、携帯電話で唯一教えてもらった幼馴染の穂波に電話をかけるのだが、電話に出たのはなんと知らない男だった! そして…… この先は是非その目でご確認ください。怒涛のキュンラッシュに悶絶すること間違いなし! 一気読み不可避! 汚れた心が洗われる! そしてこの小説、一度最後まで読んで、結末を知った上でもう一度読んでみてください。一度目では気付けなかった伏線に気づけますよ〜!!! もし満足頂けないようでしたら、私の携帯にお電話ください!長電話になるかもしれませんが、しっかりと説明させて頂きます! 080-〇〇X X-△△〇〇 尚こちらの電話番号は現在使われておりません……
ひょんなことから、高校二年生のサナの携帯電話は知らない男の声と繋がった。顔も知らない、名前の漢字すら分からない、携帯電話ごしの声。それでも男の声は、サナのことを思いやり、毎週楽しく会話してくれた。サナはそんな彼にどんどん興味を惹かれていく。そして、純情な少女は願ってしまった。逢いたい、と。純粋で優しいラブストーリー。二万字弱の短編の中に、ほんわかと温かな思いとギミックが籠められた、素敵な作品です。