貴女と蒼穹を翔びたかった 完結日:2010年8月29日 作者:野鶴善明 評価:★★★★☆ 4昭和十七年六月四日、私は重巡洋艦『摩耶』に艦載された水上偵察機のパイロットとして、アリューシャン列島のダッチハーバー攻撃作戦に従事しました。北の最果ての海はとても厳しいところでしたが、貴女の姿だけが私の心の支えになってくれました。 話数:全6話 ジャンル:恋愛 純文学 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:昭和 舞台:未登録 雰囲気:シリアス切ない 展開:未登録 その他要素 ダッチハーバー攻撃 九五式水上偵察機 戦争 文学 海 空 航空機 重巡『摩耶』 注意:悲劇 なろうで小説を読む
いつも戦争を始めるのは一握りの人たちだ。彼らは決して自分の手を汚すこともなく、殺戮を指示する。その心には悪魔が棲みついているのに違いない。そうして巻き込まれた人々には、そこから逃げ出す事もかなわず犠牲となって行くのだ。これまでの歴史の中で、何度も何度も繰り返して来たというのに、人は今日も、まだ戦争を止めることができないでいる。何という愚かなことだろう。作品を読みながら、そんなことを考えていた。 物語は、飛行機乗りだった男性の愛しい女性への思いと、ごく当たり前のささやかな望みさえ壊してしまう、理不尽な戦争への憤りの気持ちが綴られている。それは時代を超えても変わりのない若者の心であり、きっと読者の共感を呼ぶことだろう。 作品には、野鶴善明氏の詩人らしい豊かな表現で情景が美しく描かれ、よりいっそうの悲しみを誘う。ぜひ多くの人に読んで頂きたい、切ない恋文(ラブレター)。