セレナーデ・イン・ザ・ワンルーム

ある日、目が覚めたら見知らぬ女の子と身体が入れ替わって大ヒットした映画がある。恐ろしい姿をした獣の元へ差し出された少女の優雅で美しい恋愛を描いた映画がある。ゴーストとなって最愛の人を見守り続けるラブロマンスがある。なるほど、名作と呼ばれる作品には、目を引くような設定や、広く煌びやかな舞台が用意されているものである。しかしそれは、必ずしも重要なファクターではないということを、この短編小説は教えてくれる。これは、ワンルームという非常に小さい空間を舞台とした、とある青年と嫌いな君の物語なのである。大学生が1人で晩酌するのがやっとといったワンルームに、彼女は唐突にやってくる。青年が”嫌い”なその彼女は、青年の”大っ嫌い”な笑みを浮かべて、なにを勝手なことに彼の部屋に住み着いてしまう。大人と呼ぶにはあまりに幼く、子供と呼ぶには大きすぎる男女が紡ぐ六畳一間の物語です。

俺もこんな女の子欲しい……。タイトルだけで何となく伝わると思うんですが、文字数足りないんでもうちょいだけお話をします。この話は地の文からの情景描写がとても上手いです。あと読んでいてなかなか先が読めない展開で続きがとても気になります！ このまま主人公と彼女との甘い展開に期待したい、このままのほほんとしたイチャイチャを見ていたいそんな作品

現実世界を舞台にした恋愛物語です。突然住み着き始めた同級生の彼女。嫌いに部類されていた同級生だったが、実は彼にとっては大切な人であった！？と、恋愛物語としては王道に見えるこの作品。面白いのは主人公が今作のヒロインとも言える彼女のことが嫌いであるということ。恋愛作品としては異端とも言えるその設定で読者も予測できないような展開を広げていきます！文体が綺麗で、整っているのも魅力的です。細かく、読みやすく、そしてまとめられている。鮮明な映像として頭に流れ込んでくるような見事な文章と複雑な物語が絶妙にマッチしています。現実世界の恋愛物語が読みたい方はぜひ！