評価:★★★★☆ 4.1
これは恋を失い化け物に成り果てた女が、再び恋をして人に堕ちてゆく物語。
ファンタジーSLG『ザ・ロード・オブ・キング』の世界に飛ばされ、悪戦苦闘と悲恋までつけて私はこの世界に返ってきた。
と、思ったらそのSLGと同じ世界で作られた乙女ゲーに今度は召喚される羽目に。
「何で私がそんな事を!」
と憤慨する前にその乙女ゲーの設定を思い出して体を震わせる。
『ザ・ロード・オブ・キング』のファンディスクとして作られたそれは、魅力あるキャラクター達の若かりし頃の物語。
という事は、救えるかもしれない。戦いで散ってしまった最愛の人の命を。そんな重たい設定背負いながら、悪役令嬢として今日と明日を東奔西走する肉体だけJK(魂は三十路)相良絵梨ことエリーの奮闘記。
それの恋愛と陰謀増々版。
話数:全119話
ジャンル:エピック・ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
いろんな意味で予想外の本作。本作のヒロインは悪役令嬢になる以前に、女子高生から娼婦や宰相や魔術師を経て一旦女子高生に戻っているという複雑な設定もさることながら、最愛の人を亡くすという暗い過去を常に引きずっている上に、さらには魔術に長じ、政治に長じ、竜を使役する無敵の存在だったりと、「なろう」に溢れる「悪役令嬢」の中でも一際異質。なんだかヒロイン設定だけ見ると、むしろ暗殺者か復讐鬼の物語が始まりそうな感じなのですが、そんなヒロインが作中で貴族政治の荒波を乗り越えつつ、再び出会えた最愛の人を一途に育成していく本作は、全く先の展開が読めず、良い意味で読者を裏切り続けてくれます。実に読み応えのある作品です。多少エログロ要素が含まれる部分もあり、個人的には男性読者にお勧めしたい「悪役令嬢モノ」です。