私立最華学園放送部　─放送事故始末ウラ目録─

　最華学園中等部二年の伏籠川ばらとは、所属部活動である放送部の現地特別研修に参加し、フィレンツェのミケランジェロ広場前の中継車内にいた。
　高等部一年筆頭にして、放送部内部署アナウンス部キャプテン、間坂空城による現地リポートのサポートメンバーとしてである。
　そこで起きた、あまりにもばかばかしい事件は、全世界にネット生中継され、首謀者である間坂と１８名の放送部員が現地当局に拘束されてしまった。
　ばらとはその際、本人も気付かない間に『絶対安全域』という、超能力者の間でも稀有な能力を勝手に発動させ、現地当局の追跡から逃れてしまう。
　そんな彼女を救ったのは、学園に新任進路指導教員として雇われた、伝説の傭兵シルヴィス・ウィンザール（日本人）だった。
　彼の機転により、無事に札幌に帰還したばらとだが、その無意識発動の能力を世界各地に散らばる『悪い』人間たちに狙われる羽目となり、シルヴィスの息子、ジュニアが護衛の為、彼女の自宅に押しかけることになる。彼は年齢が小一だが、学年は小四という、飛び級天才少年にして、放送部員。学年副長を務める呪術紋様の使い手だった。
　ジュニアとの年齢差から戸惑うばらとだが、彼女の中で、彼の存在は急激に大きくなっていく。
　彼女の背中を押すクラスメートの三樽別川繭鋳、幣舞橋いひとよも護衛に加わり、暗殺者との対決、新能力の発動、それによる対価の発生と説明、放送部部長藤村三条の正体とそのキレ易い父親、藤村藤村の来札、幼馴染である自称パンク少女、平澤くいによる暗殺未遂を経て、ばらとはジュニアへの想いを確信に変えた。