評価:★★★★☆ 4.1
~脳筋ばかりの騎士物語! 結婚するまで帰れません!?~
平凡な女子高生・司藤(しどう)アイは、中世騎士ロマンス古典「狂えるオルランド」に登場する女騎士に憑依してしまった。
現実世界に帰るべく、意中の騎士とのゴールインを目指すのだが……!?・古典の展開にツッコミ入れつつ、8世紀欧州世界の実態に迫る!
・時にコミカル、時にシリアス! 中世騎士の一騎打ち・戦争・怪物や魔女との息詰まるバトル!
・幼馴染の悪友とのジレジレ恋愛も描きます!※末尾に★がある話は挿絵つきです。
※第2回マグネット小説コンテストの一次選考通過作品です。
※WEBアマチュア小説大賞の一次選考通過作品です。
※アルファポリス、カクヨム、マグネット!でも掲載しています。
話数:全197話
ジャンル:アドベンチャー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
今とは、こことは全く違う文化を生きた人の精神を理解するのってきっと難しい。書かれているものを読んでも知識が足りなくてきっと届かないから……そう思って敬遠していました。ところがどっこい中世騎士ロマンス古典「狂えるオルランド」の世界を日本の平凡な女子高生アイの目を通して見てみれば。中世の物語に出てくる連中は、どこか滑稽だけど愛らしく、よくわからないこだわりがあってめんどくさいけど一所懸命で、いつの間にか私の直ぐ側にいる。心が通じ合う大切な存在になっている。書き手さんの適切なナビゲートで自然と理解が深まります。昔も今も物語は奇想天外。ハチャメチャでも胸熱で気持ちを揺さぶってくれるもの。それが物語。原典を離れてアイの物語世界も最後まで熱い展開を魅せてくれます。この物語をきっかけにかつて違う文化を生きた人の、そして私の中に流れる歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
再会と別れを幾度となく繰り返す彼女達――司藤アイと黒崎八式は何とも逞しい。況や、魔本の中へ異世界転移という嘘のような現実に陥った非力で平凡な高校生二人が、である。この作品はそんな二人が本の中の住民であるアストルフォやメリッサ、マルフィサやアンジェリカやサクリパン(?)らの協力もあって、見事に成長していく様が巧みに描かれている。必要以上に群れず、パーティは前しか向かない。何故ならそこには共通の目的があるから。バトルありロマンスあり笑いあり何でもあり……あえて言おう、これは名作であると。矛盾だらけの原典なんて関係ない。『つっこめ! ルネサンス』これぞ我らの原典だ!
『つっこめ! ルネサンス』このタイトルに、貴方はどんな印象を抱きましたか?「歴史モノかー。少し堅苦しそう……」なんて思った方もいるかもしれません。が、それは大きな誤解!しり込みするのは、本当にもったいない!16世紀に書かれた実在する本『狂えるオルランド』その登場人物である、チート美人騎士への憑依。主人公、司藤アイの恋と成長。さらには、魔女や騎士たちとの戦闘(しかも心理戦あり!)といった、心躍る展開がこれでもかと詰まっているのですから!!歴史エッセイのような知識も沢山織り込まれていますが、コメディタッチで堅苦しさはなく、楽しく読めてしまうのは作者様の腕。宗教対立や様々なしがらみも描かれているので、親しみやすさだけではなく、深みや重みもあるのは、さすがだと思います。歴史好きの方はもちろん、そうでない方にも自信をもってオススメさせていただきたい作品です。
演劇部員のアイちゃんが引きずりこまれた魔本は、16世紀のイタリア叙事詩「狂えるオルランド」。ルネサンス期のベストセラーなんだけど、著者のアリオストさん、歴史も地理も大雑把、超適当。つっこめ!の通り、この世界の設定はガバガバで突っ込み満載なのです。しかし作者はきちんと時代背景を調べ上げた上で、的確につっこみという解説もしてくれます。原典を知らなくても楽しめちゃう。さらに、登場人物たちが魅力的!普通の女子高生なのに頑張るアイちゃんと、男なのにヒロインな黒崎くんの、じれじれ甘酸っぱいラブコメ。ちょっぴり変態な、女好き天然美形愛されキャラのアストルフォことアフォ様とか、ブラダマンテが好きすぎるやっぱり変態の尼僧メリッサ。そして粗野で獰猛なストーカー、最強騎士オルランドの悲しい真実。読みやすく引き込まれる文章、彼らの生の声が聞こえてくる作者の筆力に、きっとあなたも虜になる筈。
本の世界に、転移……!!するには、どうしたら良いですか? トラックに跳ねられたら良いですか? トンネルを抜ければ良いですか? うさぎをおいかければいいですか??簡単です。本を、開くだけ。笑なんと一瞬で異世界転移完了です。では転移したのでさっそくこの理不尽な世界につっこ……まない!!真面目に冒険します!!! まさかの王道ファンタジー!なぜなら物語を完遂しないと、元の世界に戻れないんです!なんという罠!あっというまに転移させて、(ほぼ)一方通行!!! ヒドイ! さすが悪魔汚い!というわけで、主人公と、巻き込まれた複数の人たちが無事に元の世界に戻れるのか、見守っていきましょう!原典読んでなくても大丈夫だよ! だって作者もまだ最後まで読んでないんだから!笑
本作の原典は、16世紀のイタリア叙事詩『狂えるオルランド』。 悪魔の宿る魔本に囚われの身となった司藤アイは、ブラダマンテを演じてハッピーエンドを迎えなければ、無事に現世に帰還できない。 アイは、本の内容を知っている男、下田教授と念話で会話できることや、結ばれる相手方――ロジェロに憑依しているのが、憧れの先輩であることもあって、恋する乙女パワー全開で邁進するのだが……。 そうは問屋が卸さないのが、この魔本の恐ろしいところ。 物語の未来や秘密を知っているという『最強のチート』に対し、本の悪魔は最悪な『罠』を用意していた。 その『罠』によって、物語は微妙に道筋を変え、アイの運命とその恋路を翻弄していく。 ルネサンス叙事詩を、現代の感性で内側から斬り込んでいく手法は、ルネサンスを新たに『文芸復興』させているようで、とても小気味よい。 新たなる文芸復興に是非触れてみて欲しい!
中世ヨーロッパ、なんだかステキ♪騎士様は、正義感が強くて女性に優しい♪信念を持って生きる男性って、とっても魅力的♪そんな乙女の甘い夢を打ち砕いてくれるのがこちらの作品です。おいでませ、残念美形好きの諸君!剣もおつむもてんで弱い美貌の王子に、執念で美女を追い続ける最強の騎士、契丹出身なのにほぼヨーロッパ人扱いの王女に、いきなりドンパチ始める脳筋騎士達。そして誰も彼も人の話を聞かない。しかも驚くなかれ、これが原典によるオリジナル設定なのだ!トリップ先は、イタリアの古典文学「狂えるオルランド」。実在する古典文学ですが、当時のイタリア人の常識で書かれれた本作品、現代日本人の目から見るとツッコミどころが満載です。この本の中に転移してしまったツッコミ気質なヒロインは、果たして現実世界に戻ってくることはできるのでしょうか?さああなたもご一緒に、つっこめ! ルネサンス!
もしも貴方が、本の物語の中に閉じ込められてしまったら?さて、どうするだろうか。この物語のヒロインがそうである。悪魔が取り付いた本に引きずり込まれてしまい、物語の主人公となってしまった。話はここから始まる。その本の名は「狂えるオルランド」彼女は凛々しい女騎士となり、物語を中を駆け巡る。ある時は美しい姫を助け、ある時は一騎打ちに挑み、ある時は天馬にまたがり、魔女のすむ島へと冒険に出かける。さて、普通、女性が戦うとなると、なかなか描写が難しいものだが、この物語の作者は、女性ならではの軽やかな立ち回りを、非常に上手く表現している。なので同性の私から見ても、困ったことにこの女騎士はものすごくカッコイイのだ!で、タイトルに戻る。この本は、危険だ。女騎士の魅力に取り込まれ、読み終えるまで出て来られないからである。拝読するときは、くれぐれも用心してもらいたい。