評価:★★★★☆ 4
人類考古学者の男は発掘作業中に過去のスンダランドに転移させられる。
道具は石器しか無く電気もガスも水道も農耕も存在しない時代の生活はとっても大変……と思いきや意外にのんびり過ごせる時代なんじゃないか?
そんな感じのゆるいお話?[参考・引用サイト]
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参考URL:ja.wikipedia.org/wiki/この作品のオリジナル掲載サイト:日本の小説家になろう
著者:水源著者に対して許可なき転載を禁じます
話数:全52話
ジャンル:
時代:原始時代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
過去にタイムスリップした主人公が、原人たちと日常を送る。言ってしまえばそれだけのストーリーでしかないのですが、とにかく情報量が多い。話自体はご都合主義で、若干引っかかる展開も多いです。フローレス人「バナナたべるー」とかさらりと書かれていますが、お前ら絶対にそんなかわいくないだろうとか思ったり。しかし、他の作品が勢いや魔法技術で乗り越えているところを、この作品は圧倒的な知識と情報で乗り越えています。まるで辞書でがつんと殴られ続けて、突っ込む暇もないくらいに。スンダランドとは、東南アジアにかつてあった平野です。氷河期に海面が低下して生まれましたが、その後の海面上昇で、現在は海の底です。洞窟はじめ名称はほとんど実在のものなので、想像しづらい方はググってみればすぐに雰囲気がつかめます。
5万年前のスンダランドに転移した考古学者主人公はフローレス人と出会い、彼らと共に生活をしていく土器が無いと不便だな、作ってみようハンモックでも作ってみるか上手くいくこともいかないこともあるけれど、フローレス人達と仲良く暮らしていた──そんなある日、主人公達の前にサピエンスが現れる。狩猟が出来なかったり、妊娠が出来ないとされて、集団から追い出された者達だった。彼らを受け入れるも、ただ食べ物を与えるだけではない。一人一人と向き合うのだ。なぜ狩猟が出来ないのか、なぜ木登りがうまく出来ないのか、うまく出来なくても何か道具を使う事で出来るようになるのではいか。妊娠だって女の方が悪いと決まっているわけでは無い。食べ物を考えよう。相性だってある。そうやって一生懸命に皆の事を考えているうちに、いつしか神様と呼ばれるようになる。彼らにとって主人公は、本当に神様だったのだろう
原始時代のインドネシアにタイムスリップした主人公。ホモ・フローレシエンシスという人と猿の中間くらいの原始人と仲良くなり、飢えた落ちこぼれのホモサピエンスたちにバナナや衣服を与えて優しくお世話をします。次第に人は増え、主人公はやがて神と呼ばれます。過去転移、歴史改編というと、戦国時代の誰かに生まれ変わったりして成りあがるパターンが多いですが、この作品の特徴は何といっても優しさです。他と争わず、怒らず、傲慢にもならない聖者のような主人公。彼は決して落ちこぼれを見捨てません。この優しい過去改変、神となった主人公。ぜひオススメしたい作品です。