評価:★★★★☆ 4
高校教師の常一《じょういち》は、異母妹の円理《えんり》とともに山形県の田舎町で静かに暮らしていた。
「俺は妹を食いたいと思っている。性的な意味ではない。肉料理としてだ」
という衝動を隠して。
しかし父が死んだことで平穏は終わりを告げる。
犯人を追う円理。一方、常一は自分が犯人であることを隠しながら捜査に協力する。暗黒の力をまとって変身する常一は何者なのか。
ダークヒーローが好きな方におすすめしたい伝奇アクション。*カクヨムさんにも掲載しています
*2018年1月より第2部、開始しました。
話数:全60話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
平成の世、時代に残され廃れゆく片田舎の町を飲みこむ怪異。リアリティとコミカルさを併せ持つ魅力的な人物たちが、不吉な事件の謎を追う。 しかし絶えなく場が孕む、そこはかとない狂おしさ。閉塞社会を蝕んでいく、深淵からくる脅威の気配――。 すぐそこまで迫った混沌に立ち向かうのは「メディア」の力だ。 文字、音楽、映像が成す現代ならではのメディアが、忌まれし異界にうごめくものを秩序の世に結い付けるのである。 欲望と背徳の身は、粘液のような浪漫にぬるぬると覆われている。人魚もまたそうあるように、その妖しさに我らは魅入る。 鳥海山の膝元で、いま伝説が動き出す。諸兄もこのミステリーの結末をぜひ見届けていただきたい。
「初めまして、私は村木円理。高校生だ。 この夏、父が亡くなった。いや、殺害された。背骨を全部抜かれたなんて自然死じゃあり得ない。 でも、医師も警察も口を揃えて自殺で処理する。 この町は企業油野養殖が幅を利かせている。町の人間は言いなりのまま。世が世なら大名とその城下町だ。 どうしても父の死の真相を突き止めたい。それなのに私の高校で教師をしている、兄の常一は反対するんだ。 確かに私は足が不自由だ。そんな私の登下校や身の回りの世話をしてくれる。二人の間を怪しむ声も多い。 と思っていたら、女の探偵が現れた。名前は相羽岬。盲目で盲導犬を連れている。聞けば兄の先輩らしいが、兄を見る目はまるで―― この町には人魚の伝説があって、父はその秘密を追ううち殺されたらしい。 私は父の真実を知り、そしてたった一人の兄を手伝いたい。 読者の皆さん。どうか、この町の謎を解き明かして欲しい」