評価:★★★★★ 4.5
(本作は毎週日曜朝8時頃に更新されます)
獰猛な闘争本能を持ち、殺戮を好む邪悪な異星人。シルディアス星人と呼ばれる彼らを駆逐するため、銀河の平和を預かる星雲連邦警察は、強化外骨格を纏うエリート戦士「星雲特警」を集結させる。血に飢えた凶悪な血族を絶ち、人々に安寧を齎すために。
――だが、その中でただ1人。正義によって定められた処刑に抗う、若き星雲特警がいた。シルディアス星人の「帝王」を討ち取った英雄でありながら、血で血を洗う戦いを嘆く彼は、生き残りの少女を連れて組織を脱走してしまう。敵は、「正義」。
星雲特警ヘイデリオンの、孤独な戦いが向かう先は――幸福か、破滅か。(本作はハーメルン、カクヨム、暁、エブリスタでも連載予定です)
話数:全16話
ジャンル:アドベンチャー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
「これはこんなもの」というイメージには、個性が出る。アラン・ムーア、川内康範、あるいはやなせたかし。一口に「ヒーロー」といっても、その言葉にどういったイメージを抱くかは、その人次第だ。もし、あなたがこの話を読む前にこのレビューを見てくれたなら、自分の中で「ヒーロー」がどんなものかを少し考えて、それから読んで欲しい。そして、読んだ後にも少し考えて欲しい。「この作品にヒーローは出てきたか」と。わたしは、出てきたと思う。ただしそれは、「この作品のタイトルに含まれる単語で、形容できる誰か」ではない。痛みを伴う献身。あくまでひとつの形に過ぎないが、わたしはこれが必要だと考えている。あなたは、どう思う?
闘争と殺戮を本能とするシルディアス星人。彼らとの終わりのない戦いに心をすり減らした、まだ16歳の少年、タロウ。そんな少年に、「あと少しだ。戦い続ければいつか終わる」そう、言い聞かせるしかなかったユアルクたち。心優しき少年は、英雄であり続けることは出来ず……シルディアス星人最後の生き残りである少女、シンシアと全てを敵に回して逃げることとなった。タロウもシンシアもユアルクも。それぞれの正義と想いに準じる。それはとても切なくて、やりきれなくて。これから読むあなたに、聞きたい。正義と悪にどれほどの差がありますか?平和の裏でどれだけの血と、涙が流れていますか?この作品は……あなたの心に何を残しましたか?
数多くのヒーロー物を手掛けるオリーブドラブさんが放つ、これまた異色のメタルヒーロー作品。 装星。その声が響く時、全てが終わり全てが始まる。 残忍凶悪強暴脅威の狂戦士シルディアス星人。彼等は闘争を求める戦闘種族。その帝王を打ち果たしたたった一人の少年は、優しすぎるゆえに戦闘機会に徹することはできなかった。力(死)に怯えるシルディアス残党の少女、シンシアを救い出し組織を離反。己の正義に準ずることを決意した。師とのお互いを知るがゆえの苦しい戦い。暖かな思いの中で、それでも それだからこそ、シンシアが出したあまりにも残酷な答え。全てが終わった後で、少年タロウはなにを手にしたのか。見上げた青空は、彼にどう映ったのか。彼の生き先に幸多からんことを願わずにはいられない。タロウの生きざまを、その波乱に満ちた戦いを、どうか見届けてほしい。
宇宙の平和を守る為に闘うヒーロー。侵略を続ける星の民、全てが悪人であるのか?世間では正義とされる組織の決定を本当に正しいのか?大勢の安心のために罪もない人間を排除して良いのか?葛藤する主人公。侵略者の血脈をもつ少女を彼はどの様にして守り抜き、心を救っていくのか?最後に待つのは驚きの展開。自分を鍛えてくれた師・友を敵に回してでも正義とはなにか?を自問しながら、彼は自分の道を歩んでいく。考えさせられる所の多い作品です。ぜひ一読下さい。
正義のヒーローが悪を討つ、それはよくある物語。悪人がいたとして、その出身地の人間が全員悪人なのか?そんな事はないと、悪とされる宇宙人の生き残りの少女を助けて組織の正義に否と言い己の心の正義の下に動いた主人公は組織から追われてしまいます。正義が対するのは、邪悪だけではなく別の正義もであった。小難しい啓蒙書より、この物語の方が断然深く正義とは何かを考えさせてくれます。
この物語を読んで、心を揺さぶられない人は居ないと思う。その選択しか無かったのか、他に選択肢は無かったのか。何度もそう思った。それ程に考えさせられた、物語。星雲連邦警察のエース、ヘイデリオンこと、火鷹太嚨は心優しき少年であった。凶悪な侵略宇宙人であるシルディアス星人の駆逐に奔走するも、最後の生き残りである少女・シンシアと相対した時、その想いは溢れる。戦いは終わったんだ、この子の命は自分たちの命と同じなんだ、怯えた少女を殺すなんて、もう沢山だ!太嚨は少女を連れて逃げる。星雲連邦警察の手の届かない場所へ。ささやかな生活が出来る場所へ。小さな希望を紡げる場所へ。行き着いた辺境の星で、太嚨とシルビアに何が待っているのか。星雲連邦警察の苦渋の決断と太嚨の想い。どちらも譲る事の出来なかった信念の物語を、あなたの目で確かめてみて下さい。
凶悪な異星人シルディアス星人と長い戦いを続ける星雲警察。この物語は星雲警察の若き戦士ヘイデリオンが、シルディアス星人の帝王を討ち取り平和をもたらした後から始まる。実は凶悪とされたシルディアス星人の中にも、善良に生活していた普通の者たちが存在している事を知ったヘイデリオンは、シルディアス星人を全員殺すまで戦いをやめないという星雲警察の方針に疑問を抱き、作戦の途中シルディアス星人の少女シンシアを保護すると組織を離反してしまう。これは、そんな組織を裏切った彼の元に、かつての仲間達が追っ手として次々現れるという逃亡劇。特撮ヒーロー作品のその後を少しダークな視点で描いた意欲作です。主人公達の装備がレーザーソードなので、レーザーをブォンブォンさせながら振り回すチャンバラが好きな人にもおすすめの一作です。
オリーブドラブさんの数多く存在するヒーロー作品の一つ。 また、この方はどんな作品も必ず完結させると言う偉業の持ち主でもありますので途中で止まると言う心配はまずありません。 本作品は他の方のレビューでもありますが、邪悪なシルディアス星人の筈の少女をヘイデリオンことタロウが組織を裏切って辺境惑星に逃れたところ、嘗ての同僚に見つかる事で物語が動き始めます。 本作品は読者に善悪を投げ掛けるテーマ性や予想不可能な展開が特徴とも言えるでしょう。 以前の作品でもそうでしたが、オリーブドラブさんはこう言う作風が得意なのかな? と思います。 とにかく本格的なヒーロー物が見たいと言う人にお薦め出来る作品です。
獰猛な闘争本能を持ち、殺戮を好む邪悪な異星人。シルディアス星人と呼ばれる彼らを駆逐するため、銀河の平和を預かる星雲連邦警察は長きに渡る戦いを繰り広げたが、ついにシルディアス星人の帝王を討ち取った。戦争は終わったその筈だった。しかし星雲連邦警察は後の禍根を完全に抹消するため、戦う力無き者たちまでその手にかけていく。帝王を討ち取った英雄である少年、ヘイデリオンは血で血を洗う戦い、その終わりなき連鎖に嘆き哀しみ、そしてとうとう唯一の生き残りであった少女を連れて、組織から脱走してしまう。悪と呼ばれる無辜の少女を護るために、集団秩序たる正義を敵に回す。それはかつての同胞との戦いを意味していた。襲い掛かるかつての戦友と戦いながらもヘイデリオンは、傷つき葛藤し、それでも何の罪もない命を奪わせない為に彼は再び苦悩しながらも武器を手に取る。傑作です。どうか是非ご一読をお願いします!