評価:★★★★☆ 4.2
リリー・メイは十二歳。租界の広いお屋敷で暮らしています。甘いお菓子や綺麗な絵本、優しいお兄様に囲まれて、楽しいばかりの毎日です。
でも、リリー・メイは可哀想な子なんだそうです。お屋敷に閉じ込められて、外のことも恋も知らないから。そんなことはないと思うのですが。だって、お兄様は恋は苦いものだと言うもの。それなら恋なんてしなくて良いのに。
外の世界へ踏み出したリリー・メイが学ぶのは、自分のこと、お兄様のこと、覚えていない両親のこと。どうしてお兄様は何も教えてくれないのか。どうしてリリー・メイの髪や瞳は他の人と全然違う色なのか。
そしてリリー・メイは知るのです。恋の苦さ、そして甘さを。
カクヨムにも投稿しています。
話数:全64話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
中国風のファンタジー世界で、イギリス商人風のお金持ちの家に生まれた女の子。優しいお兄様やお姉さまに囲まれて満ち足りた暮らしを送っていたのに、あることがきっかけで今までの暮らしが幻だったのかもしれないと疑うようになる――。そんな序盤から進められていくのは、主人公にとって都合のいい物語ではありません。優しい文章に騙されがちですが、むしろ艱難辛苦に耐えている女の子を描く場面のほうが多いくらい。シンデレラストーリーの変形みたいなものですが、いじめられる主人公を応援するうちに気付けば物語は感動のエンディングへ、となるわけです。可愛らしく飾られた文章による児童文学っぽさと、意外と侮れない骨太のストーリー、そしてなぜだか世界名作劇場風のキャラクターが思い浮かんでくる本作は、大人も子供も読める名作だと思います。完結済みですし、自信を持って紹介できる作品なので、ぜひともご一読をおすすめします。