評価:★★★★☆ 4.2
物語の舞台はクロレア帝国。
良家の長女として生まれたナスカ・ルルーは、戦時下ながらも穏やかな日々を過ごしていた。
しかし、ある日、突然の襲撃により、両親を失い、兄妹とも離れ離れになってしまう。兄が昔戦闘機乗りを目指していた縁で、航空隊訓練所に引き取られたナスカは、失意の日々を送る中で、いつしか戦闘機乗りになる夢を抱くようになっていった。
しかし、女性ゆえになかなか受け入れてもらえない。そんな彼女のもとへ、唐突に、一人の青年が現れる。彼はエアハルト・アードラーという、名の知れた戦闘機乗りだった。そんな彼が、ナスカを自身の手で育てたいと名乗り出たのだ。それをきっかけに、ナスカの人生は再び動き出す。やがて、クロレア航空隊初の女性戦闘機乗りとなったナスカは、戦争を終結させるべく、仲間とともに、戦いへ身を投じてゆく。
もう二度と大切な人を失わないように。そして、誰もが大切な人を失わずに済む世界になるように。天体暦1947年、クロレア帝国初の女性戦闘機パイロットとなったナスカ・ルルー。
これは、いたって普通の少女であった彼女が、いかにしてそこへ至ったのかの物語。
著作者:四季 無断転載は固く禁じます。
※この作品は「小説カキコ」にも掲載しているものを多少編集して投稿しております。
話数:全28話
ジャンル:エピック・ファンタジー 仕事もの
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
戦争で全てを奪われ、敵国のみならず己の弱さを憎んだナスカ。自らの意志で戦場に赴くことを決断し、空軍の門戸を叩きます。それが貴族家の令嬢としてしか知らなかった世界。死という、冷たい現実と隣り合わせの世界に転じた瞬間でした。それゆえ、迎えいれた者たち全て、「生きること」にかけてはとりわけ真剣な者たちばかり。仲間と共に、戦場を駆け、戦闘空域を抜け、戦時を生き抜くなか、「本能としての生存」、「生きる意味」を自他に問い続けながら、やがてナスカは英雄と呼ばれる存在へと成長します。その成長は、きっと彼女が少女時代に思っていた理想に程遠い。でも、ナスカは受け止められる。それは、真剣に生きてきた道程を、認めてあげられるから。生きることに真剣だからこそ、主人公以外の登場人物たちも、魅力溢れています。友情、恋愛、嫌悪。それら絡まるヒューマンドラマは、重厚な読み応えを感じさせてくれるはずです。
航空隊所属、少女ナスカの幸せ、絶望、出会い、悲しみを通して、やがて伝説となって行く少女英雄伝!女性主人公というのもあり、荒事の多い場面でも文章が上品で読みやすい。それでいて、ハイテク技術とレトロな文化が入り混じり、作品独自の世界に仕上がっている。訓練、実戦という過酷なルーティンの中で、ヒロインの成長と恋愛模様が気になるところ。ナスカが幸せだった頃、地上から眺めた空は果てしなく壮大で、夢とロマンがあったが、戦闘機に乗り、空に近づけば近くほど、そのロマンは消え失せ、銃弾と絶叫が飛び交う、地獄の世界だというのを思い知らされる。それでも、白薔薇のナスカは心を押し殺し、戦場の空を飛ぶ!
心に残る、ファンタジー作品がここに登場!この作品は、普通のファンタジーではなく、ちょっとした戦争シーンや青春シーンなど色んな要素が含まれているため幅広い方におすすめ致します!さらに1話1話が、適度な文章量であるため読みやすく分かりやすく描かれているため、一気に読まれたい方にもおすすめであります!是非皆さんこの機会にご覧になってみてください!