評価:★★★★☆ 4.3
春隣の空。
どこか哀しげな、春愁の風。
それは、君が消えた明日へと繋がっていた空。
それは、さよならが消失点のように呑み込まれていく空。
もし、いつか訪れる「さよなら」が、こんなにも涼しげなら。
それも悪くないのかもしれない。冬荒れのあの日、僕は自殺した女性に出会った。
死者を生者の夢へと導く《ユメヒト》である僕。
死者である彼女。
僕達の出会いには、意味があるのだろうか?
僕が抱いた淡い想いに、意味はあるのだろうか?
触れ合えないのに、言葉は伝わって、心だって通じる。
けれど、生と死は計り知れないほど遠くて、有り得ないほど近い。これは、死者を夢へと導く《ユメヒト》と、一人の自殺女性が織り成す、消失の物語。
話数:全28話
ジャンル:仕事もの
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
故人を夢枕に立たせ、今生の別れを告げる時間を与える。それはまた残された者にとっても同様、面と向かって言いたかったことを告げ、心のわだかまりを払拭させる――。切ない雰囲気から始まるにも関わらず、丁寧な文章と描写に引き込まれ、死人たちのドラマに感動させられます。主人公の腐心に対し、テンション高めな姉が緩衝材となる。最初は死者のように鬱々としていた主人公が、段々と男として成長してゆくところも魅力的でした。