評価:★★★★☆ 4.3
どうして魔法少女たちは世界を守るのだろう? 愛と勇気と正義を信奉する彼女達が、どのように生きているのか? 何を思って僕達の平和を守ろうとしているのか?
その疑問は違和感としか言いようのないものだった。僕の中の違和感を解消するには、彼女達に直接会って話を聞くしかなかった。
高尚な理由や目的があるわけでなく、自分の中の違和感を放置できなくなって限界を迎えてしまったのだ。
『タケル出版』を退職してフリーライターになったばかりの僕は魔法少女たちへのインタビューをはじめた。──はじめまして。なろうで初めて連載します!
インタビュー形式で話が進んでいく作品です。
いろいろな魔法少女にインタビューさせてもらいました。
話数:全30話
ジャンル:異能バトル
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
魔法少女とは何か。この星に生きる全ての命が直面してきたこの問題に一つの視座を置くなら、ヒーローと魔法少女の違いにこそ魔法少女は見いだせるのではないか。四百字しかないので端折るが、魔法少女とヒーローの違いは喪失にある。ヒーローはヒーローであり続けられるが、魔法少女はいつかの喪失が約束されているのが違いだ。そういうルーツがあるせいか、魔法少女にはとかく喪失が付きまとう。日常や仲間を失うことなど当たり前で、時には正義や信念すら失われる。そんな過酷な現実に身を置きながら愛と正義を胸に戦わなければいけないのだからたまったものではない。ここまでが前置きになる。拙筆にて失礼した。では、過酷な現実と掲げた理想の板挟みにあう少女は、何を想い何を求め何を諦め何を決断するのか。その答えに正面から向かい合ったのが本作だ。宿命に挑み続けた魔法少女たちの生き様に惹かれるならば、是非とも読んでみて欲しい。
魔法少女という浮ついてフワフワした存在を、インタビューという形式でもって切り開いて解剖して地に落とそうというある種の冒涜と言ってもいい行為を行う作品です。でも、だからこそ、魔法少女達の背後にあるもの、背負うもの、彼女らの人生、彼女らが守った世界がインタビューを通してありありと浮かび上がってきます。壮絶な魔術戦争を、悩み苦しみながら戦い抜き、時に愛し、友情を育み、憎しみを晴らす。そこに息づく彼女らの息吹を感じます。そして終盤のアレです。ネタバレになるので詳しくは書けませんが…。これまで真面目に付き合ってきたのがファッキン馬鹿らしくなりますよ(褒め言葉)。いやそれまでのストーリーを経た結果としては素直というか真っ当ですらあるというか、むしろ昇華していると言っても過言ではないでしょう。何にせよ間違いなくクソ面白いので読めばいいと思いますよ!
言いたいことがあり過ぎる。まず何よりも素晴らしいのは『かつて実在する魔法少女たちが前線にいたとある戦後の現代日本』という舞台設定。架空年号とか本当に堪りません。本作は平和を手に入れる為に多くの犠牲を払った魔法少女たちにマイクを向け、あの戦争で何があったのかを問うインタビュー形式のフェイクドキュメンタリーです。手垢が塗れ過ぎて食傷気味でもある魔法少女モノというジャンルですが、このユニークな設定と、一見実社会に馴染んだけれどどこか病みを抱えた少女たち、更に回を追う毎に深まっていく謎が全く飽きを感じさせません。そして徐々に現れてくる本当の物語。シャマラン映画にも通じる壮大かつ凄まじいオチ。何故、ドキュメンタリー形式かつ作者名なのか。それは本作最大の伏線であり、魔法少女モノの集大成と言うべきあるテーマを抱えているが故です。賛否両論あるかと思いますが控えめに言って傑作ですので是非!
インタビュー形式という究極の三人称で描かれているためか、キャラクターたちをものすごく近く感じる。感想欄の人がおっしゃってた「確かにあった物語」という言い回しがうまくてそれ以上上手いことが言えないです。すみません。短い文字数でキャラクターの掘り下げてを一気にしていく、そのインタビューの利点を使いドラマを形作る。発想がすばらしいです。流石はプロ、そういう言わざるを得ません。