――『守るって決めた。助けるって――約束したんだ!』
剣聖の技を継ぐ少年は、追われる少女の手を取り逃げる。
未踏の遺跡の深奥、数多の運命の交わる揺籃(ゆりかご)へ至る道を――。――かつての戦争での活躍により、英雄としての名声をもつ剣術の師匠とともに、サイメルという城塞都市を訪れた少年、アルファート。
彼は師匠と別行動を取っていたところ、ピュティアという幼い少女を、彼女を追う兵士たちから助けることになる。しかし相手は多勢、追い詰められた二人は、用水路に繋がる街中の小さな遺跡に逃げ込むが、その先に、存在だけは噂されていながら、しかしいまだかつて誰も見つけられなかった、都市の地下に広がる、大遺跡への道を見出す。
この遺跡を抜ければ、都市を脱出できるかも知れない――。
己の中の正義感と、そして――胸のうちにくすぶる罪悪感に突き動かされ、少女の手を取り、遺跡に挑むアルファート。
しかし、時を同じくしてその遺跡に足を踏み入れるのは、彼らを追うミルドアーク教国兵と、それを指揮する貴族、ユタンだけではなかった。
ミルドアーク教国とサイメルを巡って長年争い続けてきた、アザンティ王国の兵士たちと、その先頭に立つ騎士、オルフェ――そして彼が連れる、謎めいた少女。
北の大帝国の密命を負わされた、アルファートの師、剣聖カロン。
世界の成り立ちを識るかのような、学者を名乗る青年ワイズと、その助手の少女ケイナ。
一様に、導かれるように遺跡の深奥を目指す彼ら。
そこに眠るという、『悪行(マレフィキア)』とは何なのか。
ピュティアはなぜ追われるのか――。
逃亡劇の中、様々な事実を知っていくアルファートは、三つの国それぞれの思惑に、かつてサイメルを支配していた亡国、テメニアの妄執までが絡み合う――この深い地下遺跡での過酷な戦いを、ピュティアを守って生き抜くことができるのだろうか。
双剣戦記 -泡沫の揺籃-
完結日:2018年7月1日
作者:八刀皿 日音
評価:★★★★☆ 3.5
話数:全34話
ジャンル:アドベンチャー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録