評価:★★★★★ 4.5
晩秋のミステリーはコーヒーの美味しい横浜元町の喫茶店から!17世紀の魔女が書いた料理の本から、幻のチキンスープのレシピだけが盗まれた!?空白になった本の謎、九王沢さんと涼花ちゃんが挑む不可能犯罪の真相!犯人は魔女…?『スウィンムーアのマジックスープ』☆
話数:全36話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
完結日:2018年6月15日
作者:橋本ちかげ
安楽椅子探偵、といえば、椅子に座ったまま事件の概要を聞き、快刀乱麻に謎を解く――そんな展開が常套である。しかし、この物語は安楽椅子探偵の形式をとっていながらも設定が異色だ。出題者と回答者がスカイプを通じて、ライブで謎解きを行うのである。舞台は、横浜元町の喫茶店とニューヨークの料理店。対するのは、財閥の令嬢で才媛かつ驚異のHカップのお嬢様と、料理店オーナーからレシピを奪った魔女。レシピ盗難の謎を取り巻く、壮大かつ心温まる謎に、アナタも心トキメクに違いない!書き手視点からみて、恐るべきことはこの物語が八ヶ月にもわたって連載されたことである。改めて通しで読んでも、つなぎ目に違和感などまったく感じられないではないか。構成が予めしっかり作られていたことがわかり、一級の推理小説の証明でもある。長編ドラマ一本どころでない、ボリューム満点のスープをご賞味あれ。
ミステリーというものは、敬遠されがちだ。ある意味当然とは思う。情報量が多いというのが要因だろう。読者は安楽椅子に腰掛けてなぞ居ないのだから。──とは言え、橋本氏の手に掛かれば、是この通り!ページを繰ればつまびらかとなる真実に、胸がすく。そんな爽快感に満ちている!アガサ・クリスティに勝るとも劣らない、新感覚ミステリーが此処にある!まさに、ミステリーの身体を持った、不思議なエンターテインメント。是非一度、魔法の正体を見てみたまえ。
日常の中で起きた小さな事件。マジックスープのレシピを盗んだ犯人、魔女を自称するカイリーチ。そして橋本さん作品「九王沢さんシリーズ」から出場、九王沢さん。もう1人アイドルの涼花ちゃん。頭脳派で冷静、おっちょこちょいだけど勘が鋭い正反対な2人が謎を解いていく。犯人は最初から分かっているハウダニット物だが、中々の完成度を誇るトリックで先が全然分からない。作者曰く対決物にしたかった、正にそうでもう作品は終盤に来ているが、依然として謎を解く、解かれまいのやり合いは先が気になって仕方がない。なんだこのスリルは?と思う。じわじわとヒントを提示して行きながら、読者にトリック分かります?と挑戦的な所が凄く痺れる。後、読み易い。そんなに長くは無いので今からでもこの事件の行く末を見届けてみませんか?そして物語が完結した。最高の終わり方だった。一時期ロスに苦しむほど、楽しかった。ありがとう。