評価:★★★★☆ 4.4
同じ会社に勤める地味子とエリート営業マン。
接点のないはずの二人が、ある出来事をきっかけに一気に近づいて……。両片思いのじれじれ恋物語。
もちろんハッピーエンドです。リポグラムと呼ばれる特定の文字を入れない手法を用いた、いわゆる文字遊びの作品です。
タイトルのカギカッコ部分が、使用不可の文字です。濁音、半濁音がある場合には、それも使用不可です。
(例;「『とな』ー切れ」の場合には、「と」「ど」「な」が使用不可)すべての漢字にルビを振っております。本当に特定の文字が使われていないか、探してみてください。
「『あい』を失った女」(https://ncode.syosetu.com/n7102en/)内に掲載していた、「『とな』ー切れ」「『めも』を捨てる」「『らり』ーの終わり」に加え、新たに三話を書き下ろし、一つの作品として投稿し直しました。文字遊びがお好きな方、「『あい』を失った女」もぜひどうぞ。
(なお、ご要望を受けてルビ無し版も投稿しております。ルビ無し版は検索除外のため、以下のURLをコピペしてください。https://ncode.syosetu.com/n7239eu/)
※この作品はアルファポリスにも投稿しております。
※アルファポリスの第10回ドリーム小説大賞読者賞を受賞しました。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
話数:全6話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:じれじれ
展開:未登録
注意:全年齢対象
――両片思いそれはラブストーリーを形作る上での最高のエッセンス。読者目線では明らかに両想いなのに、当の本人達だけはそのことに気付いていない――。その絶妙な人間模様が織りなすじれじれ感に、今日も私達は悶え苦しむのです。そしてそんな両片思いモノの、最高峰とも言えるのが本作です!地味子とエリート営業マンによる、もだもだじれじれの恋物語!あまりにもどかしい二人の距離感に、読み進める手が止まらないこと必至!――しかもそれだけではありません。本作にはもう一つ、ある手法が用いられているのです。それは『リポグラム』。リポグラムとは特定の文字を入れずに小説を書く、文字遊びの一種です。使える言葉が限定されている中で、これだけ美しい物語を紡ぐ手腕は実にお見事!先ず一周目は普通に読んでいただき、二周目は本当に特定の文字が使われていないか確かめながら読むのもアリですよ!
言わなくても伝わればいいのに、思うだけじゃ言葉にはならない。ぼくはあまり詳しくないのですがリポグラムとは、特定の文字を使わないで文章を作っていくことみたいですね。各話、特定の文字を使わず、それでも研ぎ澄まされた美しい言葉で綴られた物語。ところで恋愛って特定の言葉を使わず相手の心を探るところってありませんか?相手の好きが伝われば、勇気出してこちらの好きを伝えられるのに、好きって言葉は、けっこうみんな使えなくて、照れ臭くて、でも相手の気持ちだけは知りたくて探り合う。恋愛そのものがそう言う言葉の縛りプレイの連鎖なんじゃないかな。言いたいけど言えない。知りたいけど知れない。誰もが自分を制限して縛って、焦れったいことってないですか?だからきっと最後、そんな縛りを断ち切るシーンは、胸がすーっとします。拍手喝采。「ひゅー」とスタンディングオベーション。
男女、両面から描かれるオフィスラブ。些細なことからちょっとずつ、ちょっとずつ距離は縮まっていくけれど、気になる相手の一挙手一投足が優しく気になって、そこでなされる相手のためだけになされた気遣い。誰がそれに気づくのかは、わからないけれど。人はいつまでも一緒にいられるとは限らない。もし、誰かが遠くに行ってしまう、そんなことが起こりそうなときは勇気を振り絞ってみると良い。そうすれば、幸せになるチャンスを手中にできるかもしれないからだ。
本作は、とある仕掛けがかけられています。読者さんをアっと言わせ。作者さんをその技巧で、ウギギギと歯噛みさせる事でしょう。なので二回読むことを超絶おすすめ致します。なんで二回? まず物語りの面白さ。これが「1」とある会社の地味なおんなの子。そして営業部のモテ男。かれらの、もだもだした恋愛模様が、素敵に美味しい!! 女性ならば、誰もがごろんごろん身悶えして「きゃあああ」と嬉しい悲鳴をあげてしまいます。そして最後。読者はまさに「ラリアート」にとらえられます。え? ラリアートってなに? それは読んでからのお楽しみ。さらに「2」これが物語りの仕掛けをさがす面白さ。各エピソードの題名に注目して読んでみましょう。『抜けている』なにかをあなたは、発見します。ああ、一粒で二度おいしい。これを手にしなくちゃ損ですよ!