評価:★★★★★ 4.5
「はじめまして。あたし、エリコって言うの。坊やのお察しのとおり、生きてる人間じゃございません」
ぼくはある日道端で、変なかっこうをしたお化けの女の人に出会った。
その人はどうやら幽霊さんで、なにか思い残したことがあってぼくの前に現れたらしいのだけれど。エリコさんはいじめられていたぼくを助けてくれるが、次第にその謎が明らかになっていき……。
ちょっとオカルティックなハートフルコメディ。そんなに怖くはありません。※「残酷な描写あり」は一応の保険です。
※2018年7月20日にコメディからヒューマンドラマへジャンル変更しました。
※無断転載は許可しておりません。
話数:全15話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
バブリーなエリコさんが面白く笑えます。見える少年との掛け合いも物語の面白さを引き立ててくれます。 エリコさんの明るく行動力がある接し方に優しくなり心が温かくなります。最初は逃げようとしていた少年の心も変わっていき— 子供の頃の淡い思い出、大人になったら忘れてしまう色んな思いを二人が思い出させてくれることでしょう。
皆さん、バブルってご存知でしょうか。不景気にあえぐ今から考えると、数十年前とは思えないくらい、遠い昔のような気もしますね。真っ赤なルージュに、太い眉。風になびくワンレンにもりもりの肩パッド。もはや往年のトレンディドラマの中でしかお目にかかれない姿の女性が、タイトルにもあるオバケのお姉さん。彼女はいじめられっ子の小学生オサムの前に姿を見せるなり、突然お説教を始めたのです。オバケとはいえ、どこか男前で一本筋の通ったエリコさんは本当にカッコいい。不思議な力はもちろん利用しますが、それだけですべてを解決するわけではありません。一番大切なのは人の心に寄り添うこと。カネの力で皆が極端に変わってしまった狂乱の時代を生きたからこそ、エリコさんは大事なものをよく見通せるのかも。そんなエリコさんがオバケになった理由とは……。さあバブルを知らないあなたも、エリコさんに会ってみませんか。
この物語の主人公であるぼくが、ある日道端で出会ったのは、変なかっこうをした、自称オバケのエリコさんだった。 変なかっこう……、それは三十年ほど前に一世を風靡した、そう、あの格好。 オバケのエリコさんを見つけた、この物語の主人公・オサム君は、ガキ大将たちから目をつけ(虐め)られている毎日だった。 虐めを辞めさせるべく、このエリコさん、オバケの能力を全開にして夢枕に立つ毎日。 虐めがなくなり、万々歳……かと思いきや、新たな問題が勃発するのだ。 お化けが出るけど、怖くはない。むしろ、心温まるヒューマンドラマである。 ガキ大将たちが自ら厚生していくさまも、それを許す主人公も清々しい。 しかし、ドラマは、そこで終わらなかった……。 後半訪れるハラハラも、その後のドキドキも、そのすべてが素敵な思い出に変わり、新しい物語が、また始まるまで、この物語からは目が離せない。
「オバケでバブルなエリコさん」タイトル通り、元ボディコンでお立ち台(分からない世代はググってね!)で踊っていた世代の幽霊、エリコさんが小学生のいじめられっ子、オサム君と出会い、いじめる奴への復讐など数々の事件が収束する骨太で爽快なストーリーに加え、いじめっ子にもその心のダークサイドに落ちてしまう理由があることが描かれていて、ただの復讐譚では終わらない物語の深さがあります。幽霊のエリコさんとオサム君の、心の成長も含めた活躍劇。面白いので、どうぞ一読を!
優しい話だった、というのが読み終えて抱いた率直な気持ち。いじめられる小学生の少年と、彼を助けるド派手な幽霊のエリコさん。エリコさんは、こんな大人になりたい、会いたかったという一つの理想が描かれているように思う。少年の純粋な疑問の一つ一つに対する、毅然としながらも思いやりのある答えは読んでいる側も考えさせられる。果たして子供を納得させられるだけの答えを用意できる大人は、どれほど存在しているだろうか。幽霊となるに至った心残りと、それが晴れるに至った経緯も唸らされた。昨今は子供に声をかけると不審者扱いされる風潮もあるが、そう考えると幽霊だからこそこの物語は成立したのかもしれないなと思ったりも。世の中には黒くて嫌なことが幅を利かせている。でも、優しい世界はあって、幸せは自分の考え方ひとつでつくれる。生きる気持ちを真っ直ぐ前向きにする、一服の清涼剤をお求めの方は是非どうぞ。