悪役令嬢は厨房に立つ

権力、財力、美貌。選ばれた存在であったはずの令嬢ブランジェッタ。
彼女は突然告げられた婚約破棄により全てを失ってしまう。
婚約相手が恋する相手・エリーを陥れるために散々やってきた悪行は暴かれ、名声の失墜を恐れた親からは縁を切られ、追放され、残飯を漁る浮浪者同然の生活に追いやられていた。

だがブランジェッタの心は折れていなかった。私は選ばれた存在だ。絶対に這い上がり、復讐してみせる。
復讐心と野望の炎を燃やすブランジェッタがとった選択は、プライドをもかなぐり捨てて、かつての婚約相手に謝罪し取り入りメイドとして雇われることで、裏で暗躍し屋敷を乗っ取ることだった。

だが屋敷に雇われた後、ブランジェッタはその屋敷にある問題と直面する。

ここの料理は、まずい。

婚約相手の屋敷がある地は料理がまずいことで有名な土地。逆にブランジェッタは美食の地の出身だった。
耐えかねたブランジェッタは自ら厨房に立ち、見事な料理を作り上げる。その腕を認められたブランジェッタは料理人としての役目を負い、彼女はそれを幸いに、料理人として信用を築き、ゆくゆくは婚約相手を毒殺し屋敷を乗っ取ることを計画する。

かくして悪役令嬢は厨房に立つ。その悪心の行き着く先は――