評価:★★★★☆ 4.2
現代でも回避する事が困難と言われるロシアの超高速ロケット魚雷「シクヴァル」。そのシクヴァルもどきの魚雷を太平洋戦争前に日本海軍が偶然の積み重ねで開発に成功してしまいます。当時としてはオーパーツのようなチート兵器を得た事で、日本の潜水艦は駆逐艦に狩られる存在から狩る存在へと変貌します。そして戦術だけでなく戦争の流れすらも大きく変わっていきます。
無双のために技術開発史と設定にとことん頑張ってみました。それ以外はいたって真面目なIF戦記物を目指します。どうぞ物語をお楽しみください。
この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
話数:全27話
ジャンル:エピック・ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
この作品は「架空戦記」という、昔から愛されてきたものの今では一部のマニアによってのみ生きながらえている稀有なジャンルだ。この架空戦記というジャンルも近年ありがちなチート無双的な作品がかなり幅を利かせてきているのだが……この作品はそうではない。この作品では、史実のロケット魚雷「シクヴァル」によく似た超高速魚雷を大日本帝国が偶然開発してしまったことによって、史実とは異なったIFの歴史を楽しむことができる。その魚雷の存在によって、兵器の形体や有り様まで大きく変わってしまう。しかし、本当に面白いのはそこではない。各国の軍や政府、企業による政治的駆け引きや思惑、陰謀。これらががテンポよく皮肉的に描かれており、史実を知っている身故に「やりかねない」というのが笑いを誘う。随所に小ネタが挟まれており、文章も堅苦し過ぎず、ユーザーフレンドリーで非常に読み進めていて楽しい小説だ。
「蒼海の魔槍(グングニル)~超高速ロケット魚雷で日本が無双」は、タイトルこそ今風ながら古き良き時代の仮想戦記を今に伝える正統派の仮想戦記小説である。 ここでいう正統派の仮想戦記小説とは、主人公が転生者だったり、エスパーだったり、幼女だったりしないという意味である。もちろん落ちこぼれたりしないし、ゲーム世界のできごとであったりもしない。物語の舞台はほぼ史実どおりの歴史を歩む太平洋戦争中の大日本帝国とその軍事組織である。 超高速ロケット魚雷という史実に存在しない要素を歴史の水面に放り込み、生じた戦局や戦闘の変化を見て楽しむことができる。 自作の地図や兵器開設図は分かりやすく、作者が物語世界を読者にわかりやすく伝えようとしている心遣いを感じられる。 間違いなく良心的なネット仮想戦記の一つである。