評価:★★★★☆ 4.2
『自由に生きろと敷かれたレールは、俺にとって本当に自由だったんだろうか?』
この日本で。特殊能力を操るキーダーは英雄だ。全国民の一握りしかいない彼等は出生時の検査で振り分けられ、国の為に生きる選択を迫られる。
保科修司も、キーダーの資質をもって生まれてきた。けれど出生前に父親が事故死し、産婦人科医だった祖母と伯父の颯太が、その力を隠蔽した。
キーダーは国に命を預けなければならないから。
すべての行為は、修司の自由のために。能力を隠して生きる『バスク』として十五歳に成長した修司は、上京した東京でキーダーの美弦と出会う。
☆第7回ネット小説大賞、一次通過していました。応援ありがとうございます^^
※エブリスタにも載せています。
話数:全52話
ジャンル:異能バトル
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
異能系バトル現代ファンタジーかと思いきや、社会的な作品でした。キャッチコピーに記された通り、生まれ持った異能に翻弄され、本当の自由とはなにか、という答えを求め続ける男の子が主人公です。数々の登場人物の中で、主人公だけは様々に立場を変え、いろんな視点から物を見ようとしますが、それぞれにある正義に感化され、何が正しいのかを模索し続けます。主人公が立ち向かう敵は全編通して具体的ではない、社会の闇とも表現すべき曖昧なものなのです。悩み続ける主人公がたどり着く答えを是非見届けて頂きたい。地に足がついたしっかりとした設定の上で繰り広げられる異能系青春ローファンタジーです。
主人公を取り巻く世界全体から見て、この16万文字超は、まだまだほんの一部にすぎない。この先どうなっていくのか非常に興味が湧く。本編は、主人公の人生的にはまだまだプロローグなのだろうが、そのプロローグをドラスティックかつドラマティックに切り出したものが、この作品である。ハーレムものでも主人公TUEEEEでもない、一人の少年の人間的成長が描かれている。もちろん良い意味で勢力関係も人間関係も分かり易く描写されており、惑わされることはない。そして人間描写が秀逸であるため、それぞれの人物の思惑や感情にすっと入り込むことができる。当然ながらヒロイン(たち)もしっかり描写されている。ちなみに私は「安藤律」派のようだ。まことに遺憾ながら、私はまな板に興味はないのだ。え、最後は余計? 失礼しました。
世界観が完成されている。 ただ、そう思わされた。 この作品の強みは圧倒的精度の世界観。 僕らはそんな、完成された世界の断面を見させられているに過ぎない。 始まりは穏やかに、されど決定的。 SFチックな要素が開示されていくと同時に、巧みな会話文や描写の筆致によって、群像劇的な深い物語に誘われていく。 思えば、タイトルとはその作品で描かれる世界を切り取って、まだ見ぬ誰かにその世界の片鱗を示すための物だと思う。 それならば「スラッシュ/」とは、まさに言い得て妙だ。 切り取られた物語は、あなたの心へ確かに刻まれるだろう。 完成された世界観をぜひ感じて欲しい。
スラッシュというタイトルだが、個人的に凄く納得できるタイトルだと感じられた。長ったらしいタイトルが悪いとは言わないが、端的に核心を突いたものを考えられるのは素直に尊敬できる。そして本文を読んでいてまず思ったのが【読みやすい】でした。情景説明だけ、会話文を連ねるだけではなく、この二つの組み合わせのバランスが素晴らしいと感じました。この感覚は個人差があるとは思いますが、私的にはとても良い感じです。場面場面の臨場感が良く伝わってきました。本当の自由とは何なのか?これからの展開が非常に楽しみな作品です!アクション系が大好き!という方は是非一度目を通してみては?重厚なストーリー展開や戦闘描写で、きっと楽しめると思いますよ!