評価:★★★★☆ 4.3
岬の街の夏の終わり、不思議な声が僕の日常を少しずつ捻じ曲げ始めた。涼しげな雨の気配をまとったスミエという名の女と、彼女の奏でる音楽とに導かれるようにして、僕は現実とズレを持った奇妙な世界に足を踏み入れていく。
ウィスキーの瓶が光り、やがてビリヤードの弾ける音がする。彼女は僕に何を伝えるのか、僕はそのことを忘れないでいられるのか。その答えはきっと、雨の季節が過ぎ去ってしまう頃に示されるだろうと思う。
短期集中連載 中編作品
「 SU ME A KE / 僕が出会った雨の精は、音楽と賭けごとが好きみたいで。」夏の終わりにお届けします。お楽しみください。
話数:全8話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
物語そのものは当たり前の日常当たり前の風景。物語に論点も争点もない。そこに匂いと香りを感じさせる空気感は、特殊な技量ではなくさり気なく肉厚のある言葉。純文学って言ってしまえばそういうものなんだけれど、芸術とか技量とかそういうものではなく、多分気になって気がついて思いついたままに湧き出した言葉が形になったような、どことなく気の抜けた雰囲気。騒がしい雨音の中で、こっそりあくびをしたくなってしまったような雰囲気の物語。