評価:★★★★★ 4.5
13才の誕生日に、交通事故で突然母親を失った笹村祐。
担任の先生のはからいで学寮に入った祐の前に、白い手があらわれる。
それはまぎれもない母親の手。祐が心配で仕方ないのだ。生きていたころのように、母の手とコミュニケーションをとって淋しさをまぎらわす祐だったが、父は、かたくなに母との思い出を切り離そうとするのだった。ある日、祐のもとに、杉本朱音さんという女性が現れた。
話数:全7話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
十三歳の誕生日。祐君はお母さんを失った。ところがそんな祐君の前にひょっこりと『手』が現れる。手だけの幽霊なんて……と思うだろうが、この手、とっても表情が豊か。手だけなのに、ちゃあんと祐君のお母さんの人柄が伝わってくる。ひょうきんで明るくて前向きでちょっとおっちょこちょいで……。どうして手だけなんだろう?と考えた時、もしかしたら、祐君のお母さんは、祐君を見つめながら泣いていたのかも知れないな、なんて想像してしまった。置いてきてしまった息子を見つめながら、本当は泣いているんだけど、手だけは一生懸明るく振る舞っていたのかも知れないじゃないか? そんなふうに思えてきたりする。タイトルからも、この物語のラストに何が待っているのか、想像がつくのだけれど……。それでも、読んだ人に前を向く勇気と暖かさを与えてくれる作品だと思う。
13才の誕生日に交通事故で突然母親を失ってしまった、祐くん。そんな彼の前に、母親の手が現れて……。死してなお息子を温かく見守るお母さんの優しさがホロリとくる、感動的な作品でした。この作品の凄いところ。それは、遺された者たちの反応にもそれぞれの個性が出ており、リアルに感じられるところです。時にぶつかり、時に思いやり。そんな風にして、少しずつ前へ進んでいく。人間に秘められた強さを垣間見ることもできます。完結して間もない今が、一気読みのチャンスです。ぜひ、この週末にでも、読んでみて下さい。