評価:★★★★☆ 4.3
祖国を滅ぼされた王女シャスティエは、仇の王の側妃になる。密かに復讐を意味する名を名乗り、夫には心を許さず、祖国の血を引く子に敵の国を継がせるのが目的のはずだった。
けれど彼女の心は揺らいでいく。敵国内の不穏な情勢、周辺国の野望の前には、仇のはずの男こそ最も信頼できる同盟相手だったのだ。優しく美しい王妃との交流や、生まれた子供に芽生えた愛も、彼女の憎しみを溶かしていく。一方で、敵対する者たちの悪意と陰謀が容赦なくシャスティエを襲う。
戦いに心身を翻弄される王女は、それでも血に濡れた道を歩む。かつては憎んだ王と共に。※各話ごとに視点が変わる群像劇です。対立する登場人物が織り成す権謀術数をお楽しみ下さい。
※割とあっさり人が死にます。
※2019.9~カクヨムへの転載に伴い、冒頭から順次、微修正を行っています。
話数:全347話
ジャンル:エピック・ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
この物語の主人公は祖国と家族を奪われたとある王女。彼女は復讐を誓い、その証に名前を変えた上で、仇である男のもとに側妃として嫁ぐことになるのですが……。誰かを憎むことは簡単で、相手を許すことは難しい。そう思われがちですが、人を憎み続けることもまたとても苦しいものです。それは怒りの炎を絶やすことなく燃やすことにほかならず、自身が心安らぐこともできません。痛みを忘れることがないように、常に傷口をえぐり続ける不毛さとの戦い。相手を赦すこと、自分の変化を受け入れることができれば、未来の形を変えることができるのに、そのための一歩を踏み出すことはあまりにも難しいのです。揺れ動く彼女に、彼女を娶った王、心優しい王妃、そして彼らを巡る不穏な影。傷つきながらも懸命に前を向く彼女に安寧は訪れるのでしょうか。愛しさと憎しみと人々の思惑が交錯する一大群像劇をどうぞお楽しみください。
主人公のシャスティエは文化や芸術が盛んなミリアールト国の王女であり、世が世なら平穏に暮らし続けたかもしれない。しかし、歴史の流れがそれを許さなかった。ミリアールト国は隣国イシュテン国の侵略を受け、王室最後の生き残りとなったシャスティエは女王に即位して自らの命を差し出し家臣や民の助命を嘆願する。だが、イシュテン王はその決意を「ただの小娘の誓約に何の価値もない」と一蹴し、システィエは虜囚の身になる。国も家族も名誉をも踏みにじられた王女は決心する、「私は復讐を誓う」(ヤー・クリャースタ・メーシェ)と。 まだ始まったばかりですが、囚の身のシャスティエがどのように復讐を試みるのか続きが楽しみな作品です。さらに、敵国イシュテンも王に世継ぎがいないため王の外戚と近臣の間で権力をめぐる駆け引きが始まろうとしており、その隙を突こうとする外国も現れるなど伏流のせせらぎも目を離させてくれません。