評価:★★★★☆ 3.8
多少の誤算はあったものの、8年にもわたる王子妃候補者の役目を無事に終えた私の足取りは軽かった。それは結婚相手が見つかるまでの間は『ハリンストン家の迷惑にならなければ何をしてもいい』とのお父様との約束があるからだ。僅かな時間とはいえ、『窓際の白百合』なんて大層なあだ名から解放され、その時間を存分に楽しむことにした。まず初めはずっと食べたかった城下町のクレープを食べに行くことに。早速、以前から目を付けていた城下町のクレープ屋さんへと向かい、妹のミランダの分を持ち帰り用に包んでもらう。そして自分の分はその場で食べようとするが……。※改稿版とエンディングが異なりますのでご注意ください。
話数:全45話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
本作は2部構成となっており、1部では主人公のユタリアがエリオットと交流し、彼女が彼に徐々に心を開いていくのが中心となり、2部では二人の結婚生活を中心に描いている。本作の最大の特徴として、すれ違いが挙げられる。まず、エリオットは本作において一度もユタリアに愛していることを告げていない。結婚後も町で庶民に扮していたユリアンナ(ユタリア)の影を追い、家の中ではユタリアと碌に言葉を交わさず、彼女の趣味を認めず、彼女を追い詰める。ユタリアはうつ状態になるが、家族や友人の支えでどうにか持ち堪える。とはいえ、二人は一応相思相愛である。一部の時点でユタリアの心はエリオットに傾いており、二部でロマンス小説を取り上げられて傷ついたのは彼が好きであるからだと推察できる。エリオットはユタリアの正体に気づくが、依然として二人の溝は深く、最終話でタイトル回収するところがこの小説の良い点である。