評価:★★★★☆ 4
かつて勇者と共に魔王との戦いに臨んだセルン。しかし、その戦いは勇者と魔王が相討つ引き分けに終わってしまった。
失意の中、勇者の仲間として勝利を逃した責任を押しつけられ、監獄島に追放されるセルン。そうして誰からも忘れ去られるはずだったのだが、十年後、新しい魔王との聖戦において勇者候補の一人に選ばれたことで、最強の神器を手に入れることになる。
セルンは主と慕ってくる神器の少女と力を合わせ、今度は自分が勇者になることを決意して島を旅立つ。
そんな彼の許には、それぞれの想いを胸に勇者を目指す少年少女たちが集まっていく。やがてそれは聖戦を終わらせる大きな流れになっていって……?
これは、最後の勇者が生まれるまでの物語である。
話数:全66話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
作者である夏柘氏の卓越した技量で、真っ向から描かれる戦いは人々の意志が、作中の言葉を借りれば「愛」が迸っている。「勇者と魔王の戦い」というのは、もはやアンデルセンの童話のように我々の中に浸透している物語だ。テンプレートのように扱われることもしばしばなほどだ。だがこの物語はそうした枠組みなど吹き飛ばすほど面白い。心ある者たち同士の戦いなのだ。未来を掴むためには、両の手を朱く染め上げるしかない。その様は熱く、悲しく、激しいものである。たとえ誰かによって残酷な運命の中に置かれていたとしてもその「意志」は絶対に彼ら自身のものだ。結末はいまだ見えないが、彼らが掴み取るものを見届けたいと思う。注意点としては、熱いのでエアコンを全開にして読みませうということだ。