評価:★★★★☆ 4.3
これは、もう二度と誰かを愛するつもりなんてなかった騎士と、誰かを愛し子を産めば死ぬさだめの少女のはなし。
アウストラル王国の侯爵令嬢エトワール・ブラン・ノレッジには、国王コルネリウスとの縁談話が持ち上がっていた。16才のエトワールとその従妹にあたる15才のトリシア、そのどちらかが第二王妃として嫁ぐことになる。ノレッジ家の勢力争いに敗れ閑職に追いやられていたエトワールの父は、何とか娘を妃にしようと画策していた。
子を産めば死ぬ。誕生してすぐそんなさだめを予言されたエトワールは、「妃になって子を産め」という死の宣告を前に、祖母の眠る“風の墓所”を訪れることにした。
一人で生きるべきか、それとも……。
「オレは君を愛さない」
「わたしは貴方を忘れない……」二人の想いはすれ違う……。気付かぬうちに恋は始まり、心を揺すぶる。そしてそれはどこへ行き着くのか。その終わりを彼らはまだ知らない。
※毎週月曜日・木曜日に更新を予定しております。
※イラストを入れている話に★を付けております。
話数:全70話
ジャンル:アドベンチャー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
この作品のあらすじを簡単に述べると、「ピンチに陥ってる女性を、騎士の男性が助けたところから恋がはじまる恋愛小説」です。これだけ見ると、とってもロマンス!なのですが、中身はいがいと、男臭い笑男性視点一人称で描かれているからか、恋愛と同じくらいの比重で戦闘シーンがあるからか……理由はいくつか考えられるのですが、夢見る乙女思考で読み始めると痛い目を見ます。しかしそれは決して突拍子もないということではなく、物語は古典の王道をなぞっています。好き合う二人にのしかかる重い過去や運命の先、選んだ選択がベストでありますように。甘いばかりの恋愛に飽きた方におすすめの作品です。
突然ですが、悲恋はお好きですか?私は正直なところ、悲劇・悲恋といったジャンルの作品を避けてきていました。読み終わったあとに、救いようのない嫌な気持ちになるのが嫌だったからです。ですが『宿命の星~したたかに見えてポンコツなお嬢様とやる気のないチャラい騎士のおはなし~』は悲恋のお話でもあるのですが、一味違いました。魅力的なキャラクターたちが、それぞれ悩み、支え合い、愛し合い、喜びと悲しみの中で懸命に生きています。確かにお話のなかで、生きているのです。幸せなラストでは、なかったのかもしれませんが、主人公たちの“これまで”を想い“これから”を応援したくなるような、温かくステキなお話だと思いました。完結されてらっしゃるので、悲恋モノを避けてきた方にも、ぜひ読んでいただきたい作品です。詩的で綺麗なセリフや表現も、見どころの一つですよ!
笑いあり、ほろ苦くもあり、恋に大真面目で快活な、一癖も二癖もある騎士たちのストーリー。それは学園ものを思わせる。物語の推進力はキャラの魅力であり、引き込む力は、伏線に頼らず丹念に人物を描いていくがゆえである。そして、しっとりした情景描写。それに加え、小説ならではの心理描写でキャラの心の揺れ動きを誤魔化しなしに表現していく。さらには、主人公視点でヒロインの心の内を描写していくというテクニック。目を見張るのは作者ならではの、“名言”。コメディタッチで物語が上ずることがないよう、物語にしっかりとくさびを打ち込んでいる。ぜひとも読んで頂きたい作品である。
ふんにゃり笑顔が可愛らしいヒロイン、エトワール。過去に恋人を失い、恋に臆病になってしまった騎士トマス=ハリス。これはそんな二人の悲恋の物語……なのだが。とにかくエトワールが前向き!出自といい体質といい「幸せになる権利なんてねーよ」と神に宣告されてしまったかのような酷い設定なのに、全然めげない! 凄いよね! とっても応援したくなる!というかトマス、ウダウダ言ってないでとっとと覚悟を決めてくれ!(笑)そして我らがメインヒロイン、ジェレミーちゃんのハートを射止めるのは一体誰なのか……?うむ、ここまで何一つ間違った事は書いてないな!(笑)みんなも読んで、ヒロインを応援しよう!
え?これ悲恋ものだよね?だよね?あらすじを見ればそうである。これ以上ないくらいの悲恋モノである。ストーリー運びもきちんとそうなってるなのになんだこのほのぼの感。そしてコメディか?と勘違いしたくなるほど笑えてしまう。普通悲恋モノの王道と言うとロミオとジュリエット型のような主人公で、とにかく『可哀相』の雰囲気ハンパないはずなのに……まとにかく読んでもらいたい。そして「あ、こんな書き方もあるんだ」と気づいて欲しい。眉間にしわ寄せて悩むことばかりが悲恋ではないのである