評価:★★★★☆ 3.8
私の母はね、狐なのです。
嘘ですって?
まあ、私の母を嘘つき呼ばわりですか。私は信じていますよ。人に化けて人と結婚して人の子を産んで。お産の時に「決して見てはなりません」とそう言っておいて、見たところが今生の別れ。
そういう流れのはずだったのに、父は言いつけどおり見なかったそうです。わざと苦しげな声で難産を演じていたのに見ようともしない、冷たい人だと母は怒っていましたわ。それが、私が生まれた時の話。信じるかどうかは貴方次第。
人に化けて、人として生き、人として死ねば、それは人ではないかしら。
さてはて、貴方は、どう思われます?
〈補足〉
スマフォ縦置き21字折り返しで書いています。
エブリスタにも公開しています。また、外伝的な短編も公開済みです。
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話数:全46話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
明治維新の後、国の中心は江戸より東京へと変わった。 帝国陸軍憲兵科の稲田十五郎。初出仕のその日に雪の中から倒れた人間を見つけ出す。それが彼の人生の転機になろうとは知らずに。 江戸の時代を引っ張りつつも、近代化が進む明治という時代を進む若人たちに、様々な怪異が妖異が襲い来る。 あやかしの縦糸に人間模様の様々な横糸が、綾錦の如くに絡み、物語は複数の事件から時代を作っていく。 丁寧で高尚でありながら、読み易い文章は、必ずやあなたを誘ってくれる事でありやしょう。 本編で語りきれなかった更なる深みは、シリーズの短編でそれをいや増してございます。 和の妙技を見たい方ぞ、是非にご覧じろ。必ずや満足の吐息をぞ漏らす事にぞ相成りましょうや。