コトの花

◆「コトの風／コトの空」続編で、「マリンＧＯ」の手前のお話です◆
サンフランシスコの教会で、親友羽田ゆりと山沖医師の結婚式に唯一人立ち会ったB787女性副操縦士　麻影琴は、飛行機オタクの父親の部下から初対面でプロポーズを受ける。面食った琴だったが、周囲の優しさにも助けられ、ゆりと同じチャペルに立つ。
一方、帰国したゆり達はカフェ・ワッフルの近所に引越し、蘭はカフェのオーナーのヨシノさんやその娘・真鈴と知り合う。帰国当初は日本の学校生活に馴染めなかった蘭だったが、中学受験を機に生活は楽しくなった。しかし、継母ゆりとの間に徐々に壁を感じてゆく。
そんな中、蘭の骨肉腫再発が確認される。医師である山沖夫妻は、ゆりが見つけた新薬を米国で試す事にし、琴のフライトで再び米国に旅立つ。治療は難航するが、最後はゆりの輸血で克服し、１年半後、琴のフライトで無事帰国する。
帰って来た蘭を、ヨシノさんはゆりの自転車と同じ色の車椅子に引き合わせ、ゆりが高校時代に蘭と同じ病気を患い、自転車の代わりにその車椅子に乗っていた話を語る。蘭はゆりの輸血での治癒もあって運命を感じ壁は消散する。ゆりの車椅子を受け継いで中学に復学した蘭はある決意を抱く。
そしてリハビリに自転車を再開した蘭は高校進学を決めた春休み、ゆりや真鈴とツーリングに出掛け、偶然鶴を目撃する。誘われるように鶴を追って丘の上に出ると、そこには琴がいた。琴は妊娠が発覚し乗務を降ろされ、一人自転車に乗って来たのだった。蘭たちを導いた鶴の正体は何だったのか？春の花爛漫の大和路に締めくくりの弧が描かれます。
※本作品は「エブリスタ」「カクヨム」サイトにも掲載します。