山崎守(やまざきまもる)は東急東横線の学芸大学駅に住む、三十歳独身の男性。広告代理店でプランニングの仕事をしている。
年末、カウントダウンイベントの仕事を終えて、正月は自宅でゆっくり過ごしていた。元旦の夕方に近所の神社へ初詣に行く。帰りにひったくりの現場に出くわす。
東急東横線の学芸大学周辺はセレブな街と表現する人も多いが、年配者や若い女性が多く住む。草食動物が密集して生活する街でもある。ひったくりや空き巣などの被害は都内でも多い方に分類される地域なのだ。
ひったくりの被害にあった女性を助けて数日後、山崎守が外出から戻ると自分の住むマンションの前にパトロールカーの姿がみえた。山崎守が住むマンションに空き巣が入ったのだ。
あわてて自分の部屋の被害状況を確認する山崎守。自分の部屋に被害はない。安心する山崎守だったが、頭に思い浮かぶ犯人がいる。
それは、あいつ。空き巣の現場検証に立ち会った大家さんから渡したいものがあると言われ、山崎守はサッカー日本代表戦のチケットを入手する。正月にひったくりから助けた岡田エステート会長からのお礼だった。
山崎守は上司たちとサッカーを観戦に行く。
サッカー観戦から自宅に戻ると、今度は自分の部屋が空き巣の被害にあっていた。
自分が渡したチケットでサッカー観戦へ出掛けた日に、空き巣に入られたことを心苦しく思ったのか、岡田エステートの会長が仕事の相談をしたいと言ってきた。ご近所づきあいもあるので断れない。
打ち合わせに行くとそこには、学芸大学駅周辺に住む人たちが集まっていた。仕事とは年末カウントダウンイベントの実績を持っている山崎守に、学芸大学駅前周辺の再開発を阻止するプランを考えてもらいたいというものだった。人は何度でも再生できる。月が満ち欠けを繰り返すように。
青い色、月、古きを温めすぎるものをキーワードに、何度でも再生していこうという気持ちが大事であることを訴える物語。
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