評価:★★★★☆ 4.2
突如として現れた魔王によって荒廃した世界。
人々はこれに対抗する為に異世界から勇者を召喚し、最後の望みを託す事にした。それと同時に始まる勇者の残機ドナー制度。
親友がモンスターに殺された事をきっかけに、わたしは勇者の残機ドナーに登録する事を決める。
話数:全3話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
完結日:2018年10月12日
作者:志雄崎あおい
突如として現れた魔王によって荒廃した世界。
人々はこれに対抗する為に異世界から勇者を召喚し、最後の望みを託す事にした。それと同時に始まる勇者の残機ドナー制度。
親友がモンスターに殺された事をきっかけに、わたしは勇者の残機ドナーに登録する事を決める。
同調圧力という言葉がある。本心においてはその意見には反対であるが周囲の環境、上位者の行動、不特定多数からの評価や、その後の人間関係……そういった様々な事象により、自身の本心を押し隠して周囲に迎合してしまうこと、これは人間ならば誰しも経験があるだろう。このお話はその同調圧力が行きつくところまで行きついてしまった結果のお話だ。周囲の目を気にすることは決して悪ではない、それは社会というコミュニティを維持していくうえで必要不可欠な要素であるし、回りと足並みを揃えることができない者はコミュニティの中では生きてはいけない。だが、それでも行きつくところまで行きつけばこうもなろう、というゾッとしてしまうおぞましい世界が本作の世界観だと思う。明確に善悪論で語れるお話ではないと思う。どう思われるか、それは貴方ご自身の目と心で確かめていただきたい。
おお勇者よ、死んでしまうとは情けない! ――という旨のお小言は、RPGをプレイする中で誰もが一度は貰ったことがあるだろう。そしてその度に再起し、何度も死んでは蘇り、最後にはクリアしてきたはずだ。 だが、死者を蘇生させるなど、生半可なことではないはず。もしそれが、文字通りに「命」という等価交換の上に成り立つ事象であったとしたら……? 「残機ドナー」と呼ばれる制度を導入したとある国では、勇者が世界を救うために、まさに「命懸け」の戦いを続けていた。人々は世界のために、そんな彼らを応援していたのである。「残機」という狂気の概念を、ひた隠しにして――。 何度も死んでは蘇る、私達がよく知る勇者の英雄譚。その影に消えゆく「命」を描く、儚き市井の物語です。ぜひ、ご一読ください。
この作品には【残機ドナー制度】というものが存在しています。残機ドナー制度は──おっと、実際に読んでみてください。その制度は、視点によって価値観が変わってきます。平和のための誇らしい犠牲か、単なる生贄か。(価値観という表現が正しいのか私にはわかりません)あなたはどう思いますか?この【残機ドナー制度】について。
聖なる使命を受けたものたち。勇者は万民の英雄となる。ボス級の魔物と刃を交え、魔王を生死を決する戦い!一歩踏み込まなくてはならない。躊躇してはいけない。それを倒さなくては人類に未来はないのだから。戦え!闘え!斗え!しかし、考えて欲しい。その魂はどこから来たのだろう?何度も何度も死してどうやって生き返るのか?「一将功成りて万骨枯る」そんな勇者の死の裏側にはこんな側面があったのです。
オレたちは勇者!異世界に召喚されて、魔王と戦い、たとえ死んでも魔法で生き返るから、勇者って最高!そう思っていたら、実はオレたちが生き返るたびに、残機ドナーとして登録された市民が代わりに死んでいた!だったら最初にそれを教えろよ!知ってたら魔王となんか戦わなかったのに!……あっ、だから誰も教えてくれなかったのか!というか、オレたちを生き返らせるために、一般市民に残機ドナー登録をさせている教会のヤツらが一番悪い!ヤツらがいなければ、オレたちが召喚される事もなくて……………………そしたら市民がみんな魔王に殺されていたのか……。いや、そもそも一番悪いのは魔王だ!だから、そいつを倒すために別の世界から勇者を召喚しよう!って…………あれ?ふり出しに戻ってる?……というお話が一般市民視点で描かれています!誰かいい方法があったら教えてください!
【残機ドナー制度】というものの存在する世界で、親友を失った少女が残機ドナー登録をしたことから始まる作品です。よくあるファンタジーものの裏側、といった感じの作品で、深みのある内容を求める方にはもってこいだと思います。世界観や内容がしっかりと作り込まれているため、間違いなく満足感があります。個性的なアイデア、人間というものを感じさせてくれるキャラクターなど、魅力的です。ぜひ読んでみて下さいませ。
この15543文字の作品は、実に10000000文字クラスの長編に出来るアイディア。とにかく聞いてくれ。アルフォンス・ドーデの「アルルの女」をご存じだろうか。麗しの「アルルの女」に一目ぼれをしたフレデリは、婚約者ヴィヴェットとの別れを決意する。ヴィヴェットはフレデリのためならばと潔く身を引いた。フレデリは自分の短慮を恥じ、改めてヴィヴェットに婚約を申し込む。そして結婚式の日。フレデリは「アルルの女」が、ある男と駆け落ちの約束をしたことを知る。嫉妬にかられるフレデリは、新婦と家族と友人の見守るなか、投身自殺した。……恐ろしい作品だ。ここまでフレデリの人生を滅茶苦茶にしながら、作中に「アルルの女」は一行たりとも登場しない。この作品の勇者も、同じようなもの。ちがうのは、最後に登場しやがる点。よって、ドーデより、志雄崎あおいのほうが恐ろしい。