評価:★★★★☆ 3.9
ゲーセンから出たところで通り魔事件に出くわした主人公は、女子高生を助けようとして通り魔ともみ合いになり、通り魔を刺殺してしまう。主人公はそこに折悪しく現れた警官に犯人と間違って射殺され、30年の生涯を閉じた……はずだった。
しかし、これではあんまりだと主人公に同情した異世界の女神が、異世界へと転生させてくれることになった。条件は、同じく異世界へと転生しようとしている通り魔を倒すこと。
かくして主人公は【不易不労】――精神的にも肉体的にも疲れることがない、というスキルのみを授かって、異世界へと転生する。
※ 書籍版第1巻~第3巻、オーバーラップノベルスより発売中です。18/10/5追記:
この作品と趣向を同じくする新作の連載を開始しました。
併せてお読みいただければさいわいです。
『NO STRESS 24時間耐えられる男の転生譚』
https://ncode.syosetu.com/n8387fa/
話数:全186話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
試験勉強の途中で唐突に漫画を読み始めたことはないだろうか。しかもそれが半ばの巻で、巻を逆行するように読み、気が付いたら結局始めから読み返していたことはないだろうか。途中、作品内でミステリーが始まるのだが、それを私は解決しようとエクセルに時系列をまとめては女神がブログを始め、新章がはじまり王都到着から読み直してはエレミアの殺さんばかりの視線がミゲルを沈黙させる。「アカン、殺害したのどう考えてもあいつって言うかもう片方は殺害方法が思いつかんけど、死後処理はもう片方の方がやりやすい」とか思いながら主人公が俺のステータスをドン。そう、これは推理と同時に気が付いたら作品全体を再読させようとする作者の軽妙な罠だったのだ。
疲れない・眠らない・飽きない、という地味ながら精神的に非常に助かる能力と使命を女神様から与えられて赤ん坊に転生したオタクの活躍を描く物語。およそ凡人なら途中でくじけてしまう単純作業を常に集中し続けることで克服し、自身の能力をどんどん育てる「作業」を行う。24時間、一時も休むことなく行うため、恐ろしい作業量をこなす。数日経てばスキルレベルもカンストする。意外とこの「疲れない」という効能は奥が深く、辛くならない、しんどくならない、面倒くさがらないなどなど精神的に諦めることがない。常に自身のスキルレベル上げをしている姿勢は非常に尊敬できる。転生後、また一年も経たないうちに赤ん坊ではあり得ない諸行を為し、赤ん坊ですらなくなる。登場人物が皆々フランクで、違和感も無視して主人公を理解してくれるあたり、寛容すぎるのがご都合主義設定の塊で気持ち悪いが、なろうらしいなぁと気にしないのが吉。