評価:★★★★☆ 4.2
栗山優希小学六年生。背が少し小さいくらいで普通の男の子。体調を崩して病院に行ったら衝撃の事実が……。いわゆる性転換モノです。基本的にはコメディですが、リアリティも重視しています。とはいえあくまでフィクションですので、現実とは異なる描写があります。
※ 内容的にきわどい性描写もあります。
基本的ほのぼの系ですが、後半の一部に性犯罪描写もあります。苦手な方はご覧にならない方が良いかと思います(一応注意書きをいれてあります)
話数:全90話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
思春期の入り口、小学校卒業が近い6年生の終わり頃、それまでずっと男子だと思って生きてきた主人公が実は女子だった、という所から四季を一巡りするこの物語が始まります。生活でのTS(性転換)に戸惑いながら大きくなっていく主人公の姿は、もっと普遍的に、人が成長していく、女性が成長していく姿そのままで、とても身近に思えてきます。そして、登場する周りの人達も含め皆、とても愛おしい。そういう温かい物語が展開していきます。この物語を紡ぎ出した作者の心根に、強く惹かれました。私は読み終わる度に、自分の大切な人に会いたくて会いたくてたまらない衝動にかられます。そして何度も、この物語を読み返してしまっています。是非、皆さんにもこの物語に触れてほしいです。
ほとんどの人は小学4年生~6年生頃に第二次性徴、体つきが男らしく、または女らしくなったことだと思います。この主人公はその時期に男として育ってきたのに、心が男なのに、体は女らしく成長しました。心は男なのに、体は女、という合わない状態。その状況で起こる苦悩は、私には想像することもできません。この作者は細かく現実的にその苦悩を表現しています。さらに、読みやすい文体には引きこまれるでしょう。主人公もその苦難を、何回つまずいても前を向いて、まわりの人に助けられることもありながら乗り越えて、その度に成長していきます。その姿に、つい手を握ってしまいます。ついこの主人公の幸せを願ってしまいます。この作品をみんなに読んでほしい。
小学6年生という、ようやく女子と男子の違いを意識してくる頃。そこから、自身の性別意識とは関係なく、性転換してしまった主人公。心は男子だけど身体は女子になってしまったという矛盾から生まれる主人公の苦悩。そしてそれを乗り越えていく強さとひた向きさに、感動してしまいました。現代にどれほど身体と心の性別が異なっている人がいるのか、その人たちはどんな恋をするのか。そして、その人たちがどれだけの苦難を味わっているのか。私にはその苦難を想像することはできても、本当の意味で理解することは出来ないと思います。しかし、この作品ではその苦難が非常に事細かに描かれています。女子として過ごすことに決めた主人公を、思わず応援していた自分がいました。この主人公には、絶対に幸せになって欲しい。これほど心を揺さぶられた話はありません。間違いなく、一度は読むべき傑作です。
ねえ、私の気持ちは女子なんだけど、なんで身体は男の子なんだろう?そう思っている方は少なくとも、テレビの統計の数を遥かに超えています。という、私の知り合いも女子なんだけど、男の子の格好をしています。この僕っ子は、現代問題を提起している代表作でしょう。でも、作者様の創意工夫で、わかり易く、読みやすく書かれています。それも、色々な複雑な事情を含めて、それを乗越える主人公の頑張りには、応援の気持ちで手に汗を握ります。ああ、この娘が幸せになるのは当然だよ。そう感じてしまう物語です。私は、何度この作品を読んだことでしょう?テンプレ作品では無い作品ですけど、これだけ愛される作品は少ないです。つまり、本物の作品と評します。だから、皆さん……、本物の物語を読んで感動して下さい。