【陰謀渦巻く愛と裏切りの群像劇ファンタジー戦記(逆ハー風味)】
アンデシュダール大陸には幾つもの国や民族が存在する。そしてその中でも女を王として戴くのはロサだけだった。
そのロサで現女王に待望の世継ぎが生まれた。
彼女は青の薔薇と呼ばれる――国を滅ぼす不吉な姫と予言されたが、女王は我が子を殺さずに十五年間育てる。それは奇しくも三年前同じように国を滅ぼすと言われ殺された隣国ダリアの第三王子――青のダリアとは異なる運命となった。
そして十五歳になった王女――ノヴァーリスには初恋の相手によく似ていて現在片想いをしているシウンという執事兼護衛剣士がいた。だが彼女にはきちんとした隣国の第二王子という婚約者もいて、その恋は叶わないことをよく理解していた。
そして婚約者と初対面となる十五歳の祝賀会の夜、事件は起きたのだ。
ロサを覆う曇天。
会場を染める血飛沫。
阿鼻叫喚の城内からノヴァーリスはシウンと二人脱出する。
これが彼女の戦いの始まりだとは露知らず……。――小さな淡い恋の秘密と蠢く強大な陰謀。
協会(魔法使いの巣)は敵か味方か。
徐々に大陸全土を巻き込む嵐は多くの出会いと別れを生み、残酷な運命は嘲笑うかのようにノヴァーリスの身に降り注ぐ。
様々な思惑や想いが交差し、濁流となって彼女を飲み込もうとするが、それに翻弄されまいと彼女は地に足をつけて前を向くのだ。――これは運命に抗う彼女の戦いの記録――
(以下敬称略)
【表紙】尚白
【挿絵】城崎紫苑
【地図】すずめの親玉
※挿絵があるページは★を付けることにしました。☆は四コマやオマケイラストがついております。◎には相関図。
※表紙絵、挿絵、地図はすべてこの小説の為に描いて貰ったモノです。無断転載などは止めてくださいね。
※また様々な思惑や考え方を持つ人物が登場する為、タグが足りません。同性愛や近親愛などの傾向を持っている人物も出てきます。さらっと触れるだけですが、苦手な方は申し訳ありません。
※マグネットにも掲載しております。
夢現の青薔薇姫~アンデシュダール戦記~
完結日:2018年11月21日
作者:如月 燎椰
評価:★★★★☆ 4
話数:全114話
ジャンル:エピック・ファンタジー
時代:中世
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
お昼のメロドラマのことを、海外では『ソープオペラ』というらしい。そしてこの作品はまさにオペラ、つまり歌劇にふさわしい。国に災厄をもたらすと予言された王女。彼女の15回目の誕生日に、国を揺るがす大事件が起きる。逃亡、追跡、そして数々の出会いと別れ。まさに息つく暇もない、怒涛のストーリー展開。少女が大人になり、国を治める者として成長していく姿、心の動き。美しい挿し絵とともに、その軌跡をたどり、その世界にどっぷりと浸って欲しい……。
この物語に多彩な意図が絡まり合っています。一人一人の行動、言葉にきっと何か意味がある。まるで歴史の…一部分を切り取ったかのように、キャラクターの一人一人の歴史が見え隠れしながら進んでいく…。時折「あぁ、彼は今どうしているのだろう」「彼がもし生きていたら…」なんて考えてしまいます。ここからはネタバレ交じり話を進めていきます!!はじめは、年の差ラブファンタジー? いや! もしかしたら逆ハーレムもの!?…なーんて、うきうきしてたらまさかの展開!予想が出来ない、これこそ群雄劇! きっと話の見えないところでも、コイツが暗躍しているんじゃないかと? そば耳を立てて読み進めてしまう!そんな…なんといえばいいのでしょう? 恋愛戦記ファンタジー小説?恋愛模様も追うもよし戦記物として読むもよし勿論ファンタジーとしても読んでもいい!この小説は、このレビューで感じた面白さの”100倍”面白い。
ヒロインのお姫様がいて、執事や婚約者や王子様などがいっぱい出てきて、みんなヒロインに淡い恋心をいだく。この説明だけだとガッツリ恋愛の逆ハーレム小説に見えますが、ページをめくってみますと結構シリアス。序盤でヒロインが国を追われてしまいます。そこから逃亡生活がはじまるのですが、すごい! 容赦なくキャラが死ぬ!!しかも一人や二人じゃない。重要そうなキャラも出し惜しみなく死ぬ。「えっ、その……その人死ぬの!?」って自分の目を疑ったことも……。ただ、人がむやみに死ぬ暗い話というわけではなく、(もちろん死んだら悲しいのですが!)熱い展開も多くあります。とあるキャラが大事な人を守って、汚名をかぶって死ぬシーンや、逃亡を続けていたヒロインが物語の折返しで反撃に出るシーンなど、すごく盛り上がります。キャラの関係性から、乙女ゲームの雰囲気を感じさせつつ、シナリオも重厚な作品です。
ファンタジー群像劇、ここに開幕ーー!!たくさんの鮮やかなイラストと、読みやすい文章が魅力の作品です。それに加え。可愛らしい王女、麗しすぎる女王、美男子な執事などなど、個性豊かな登場人物から目が離せません。(ちなみにお勧めはルドゥーテ女王の脚です)ファンタジーが好きな方、たくさんの糸が絡み合う物語が好きな方には、特にお勧めです。恋愛要素があるところも素敵だと思います。ぜひ読んでみて下さい。この物語は、きっとあなたを虜にしてくれることでしょう!
ファンタジーだけど、設定は難しいことはなかったです。登場するキャラが多くても、一人ひとり個性的で、好きなキャラと嫌いなキャラとか出てきます。あと、登場する男の子たちがかっこいい!心情も丁寧で、お父さんが優しかったです。恋愛色が強めなのかと思ったら、国と国の争いとか出てきたりします。いろんな国も出てきたので、これからが楽しみです!
フリーで乙女向けゲームを作成されている作者さんです。そのゲームの作風や世界観をそのまま小説にしたようなストーリーで、作者さんらしさの感じられる小説になっていると思います。逆ハーレムやロマンスが好きな方には好まれるんじゃないでしょうか。自分は男ですが、主人公を取り巻く男性キャラのセリフはちょっと魅力的に感じます。『歯の浮くようなクサイセリフ』というヤツなんでしょうが、男としてカッコよく言い放ってみたい欲求に駆られる時があります。…いや、言い放ってますね。一人の時にこっそりと(笑)なので自分と同じタイプの男性にもオススメ出来るのではないでしょうか。割とサクサク読み進められる作品なので気になった方は是非。