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 五十歳になられた閣下は、後継者に苦慮された。偉大な閣下を継げる者はいなかった。そして遂に、私が進言したクローン創造に踏み切られた。主治医のテイバテイ教授の屋敷で密かに、M1~M8の八人の分身たちが育つ。六ヶ月で、それぞれ、養家に預けた。二歳のとき、教授はM1とM2の二人を養家から連れ戻した。そして私が大統領私邸の自室に連れ込んで暮しはじめた。見かねた閣下が保母を手配し、引取ってくれた。私は政治家になる望みを捨て、分身たちの成育を秘かに見届ける役目を負った。
閣下は後継者にM1を選んだ。M2は自らの立場を察し、B国に去った。そして多感な彼は、B国所属のこの海賊島で一人過ごし、案じた私が訪れたことがあった。
八十歳の閣下は念願どおり、三十歳のM1にA国大統領の座を譲った。他の分身たちは、M・Mの資質を受け継いで、いつのまにか暗黒街、経済界、実業界、それぞれの頂点をきわめた。そして、彼らは政治の世界に乗り出してきた。
嵐が島を襲う。私は雨漏りの激しい丸太小屋でテントを被り、震えている。葬った記憶が次々によみがえる。


話数:全2話
ジャンル:

登場人物
主人公属性
  • 未登録
職業・種族
  • 未登録

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意:全年齢対象