評価:★★★★☆ 4.4
「ナオキ、君に神を殺してほしいんだ」
現代日本で新興宗教の教祖として生計を立てていた神城ナオキは死んだ。そして彼はその罪ゆえに、無限の地獄へと送られることになった。
だがなんの手違いか、はたまた陰謀か、彼は神々が実際に存在する異世界「エルマル」に送り込まれる。神とその神官たちが支配するこの世界において、神の加護も特殊な能力も持たぬまま、ただ「神を殺せ」という使命だけをその身に帯びて。※異世界に転移した現代日本人が、「本当の神」を信じその恩恵を世界にもたらす教団を駆逐し、自分の教団で世界を支配していく物語です。
※主人公はいわゆるチート的なものを一切使えません(展開がダルくなるので言語は初手から通じる方向性で)。
※各話タイトルの後ろの(+n日)は、1つ前の話からの時間経過を示します。
※登場人物はだいたいみんな死にます。人によっては鬱展開と感じるかもしれません(作者的には想定より全然そっち側に行かなかったなというのが所感です)
※教会内部の派閥名を見て「あっコレってアレじゃんね」と思った同胞が万が一にもいたらお声がけください
話数:全156話
ジャンル:エピック・ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
転生モノながら異色かつ怪作。新興宗教の教祖だった青年が別世界転生して破壊力マシマシ宗教改革を仕掛ける、という話。謀略系というか内政系というか、そういうの好きな人はハマるはず。世は宗教改革時代にして戦国時代、人の命は余りに軽い。小市民なのにあまりにも人を読み、操ることに長けすぎてしまっているのが主人公ナオキの長所であり業なんだろうと思う。どんなに高潔な神の騎士も愛すべき善良な聖職者も苛烈で情熱的な女戦士も、みんな等しくナオキに人生狂わされて、本性を暴かれて、そして死んでいく。ナオキに立ち向かう誰もが悩み苦しみ、そして魂にかけて戦う様が本当に美しい。本当に美しいのに、でも、皆死んでいく。どんなに高潔な魂も等しく死んでいく。無惨。ナオキがホントにしょうもない男だってのもまた無惨。しかもその無惨さがまた美しい……。余りにも冒涜的で、そして引き込まれる、まれに見る傑作です。
異世界転生したカルト宗教教祖が、キリスト教のような世界宗教の神を殺そうとする話。 考えて見て欲しい。 あなたが異世界からの転生者だとして、「ヤハウェを殺して欲しい」と誰かにお願いされたとして、どうやったら殺せると考えますか? これはスゲーおはなしなんです。エラいひとにはそれが分からんのです。 唯一神教と社会との関係について網羅された読みものでもあるので、参考資料としてもタメになります。 ワナビの方で異端審問官とか出したいけど具体的なリアリティ出せないとお悩みのあなた!! そう、あなたにこそ読んで欲しい。 これは凄い物語だぞ。 2018年2月 小田原にて
“内容的な部分に関しては既にレビューとして残されているため、私の方からはいかにこの作品面白いのかについてやや抽象的になってしまうがレビューしようかと思う。タイトルにも書いた通りこの作品には臨場感と疾走感が溢れている。見る間見る間に展開していく知的なストーリーは、いわゆる””熱い””戦闘描写を伴わないにも関わらず手に汗握るもの。これには珍しい書き方である事も一因であると私は考えるが、その部分に関しては貴方の目で確かめて欲しい。頭脳戦が楽しめる作品としては読みやすく、そういったジャンルが好きでない方にもオススメしたい。また、読みやすいといってもストーリーの重厚感はとてつもなく、読み応えのある作品を欲する方にもオススメする。”
とある異世界。類い希な美貌と知性をもって生まれた名門貴族の息女は、それを恐れた他家の者達に貶められ、家もろともに没落。ついには”魔女”の烙印を押された末、性奴隷へと身を落としていた。娼館で春をひさぐ彼女は、一見冴えない、それでいて話術巧みな成り上がりの男に見いだされる。世界に絶望していた彼女は、神を殺したいかと問う男に賭け、その野望の中核に据えられる事を受け入れる…… 新興宗教の教祖だった日本人が死後、神が実在するとされる異世界へ転生し、エセ宗教家としての人心掌握や駆引きの技術を駆使して、いずれも「訳あり」の才女達を使って野心を成就していくという、ピカレスクの異色作です。謀略あり、戦闘あり、神学論争ありの骨太でハードコアかつシリアスな展開、まさに必読です。