評価:★★★★☆ 4.2
エンダルジア王国は、「魔の森」のスタンピードによって滅びた。
錬金術師のマリエラは、『仮死の魔法陣』のおかげで難を逃れるが、ちょっとしたうっかりから、目覚めたのは200年後の錬金術師が死に絶えた世界だった。
スタンピードで出現した迷宮と、魔の森を管理するために王国跡に作られた迷宮都市には、ポーションは数十年前から保管されている劣化した物しかなく、超供給不足で値段は高騰。
ポーションを作れる都市で唯一の錬金術師になってしまったマリエラが、こっそりポーションを販売したり、迷宮都市での暮らしをのんびり楽しんだりするお話です。
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話数:全221話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
ていねいで奥行きのある描写、それぞれの意志を感じさせる登場人物、ご都合ではなくからみ合って進んでいく物語。凝った描写は、ともすれば読みにくさに陥りがちなところを、主人公であるマリエラの柔らかさが包み込んで、ほどよいテンポでストーリーを動かしていく。なろうに生産職チートの作品は数えきれないほどありますが、人気作のなかでも、「こんな物語を書けたら」と素直に敬意を払える作品は希少です。思わず、初のレビューを書いてしまいました。
ポーションの作り方など、細かい設定までよく決められていて面白い。ファンタジーでありがちな「魔法でパーっと出来ちゃった」ではなく、処理をきちんと描かれているところが、物語をより身近にしている。ほのぼのパートではギャグセンスが光る。終盤までは日常が主に描かれており、思わず笑ったり泣いたり楽しめる。終盤のシリアスパートでは辛い戦いも多く、しんどい中でも少しの笑いが癒しとなることもあった。迷宮都市という街一つを主な舞台としているのに壮大な世界を感じさせ、大きく広げた風呂敷を最後にはきっちり畳みきり、その上で今後の話(番外、スピンオフなど)に期待を抱ける。これほど綺麗にまとめることはネット小説に限らず難しいだろう。ファンタジーが好きな方には特にお薦めする。ぜひ読んで欲しい。
外見は平凡、ちょっとうっかりな性格、決して器用には立ち回れないヒロインには、何物にも代えがたい天質があった。素直で思いやりにあふれた心と、錬金術が好きであることである。他の者ならば投げ出したであろう厳しい修行も、うんざりするような複雑な精製手順も、辛いことだとも思わず、特別なことだとさえ認識せず、彼女は愚直なまでにポーションを作り続ける。器用で、他のこともできてしまうようなヒロインだったなら、この物語は辿り着くべきところには辿り着かなかっただろう。努力が、人々の協力が実を結ぶ、大きなカタルシスが得られる物語だ。性格のいい主人公が踏みにじられたり搾取されたりという理不尽な目に合う展開は精神的に苦しいので苦手、という方にもお勧めしたい。基本的にほんわか。
例えば、白雪姫で出てくるお婆さんが、でっかい壷で紫色のコポコポいっている液体をグルグル回す姿を想像したとして、子供心に怖いなと思った事はありませんか?それは、リアリティーがあるからだと思うのです。200年の時を経て、変わってしまった街でヒロインが持っている武器は錬金術でした。その作成方法や材料など、現実にはありえない物なのに、何故か想像出来てしまう。新しいレシピに一喜一憂し、完成した喜びは共有できると思います。誰の為に何の為にポーションを作り、それがこの世界をどう変えていくか?それが明確になっているので、ポーションがただの便利グッズになっていないのです。シリアスとほのぼのした話が良い具合に混ざり合い、困った時に差し伸べられる手がある。それは生き残ってしまったという罪悪感と、前を向いて歩むヒロインの姿勢がそうさせるんだと思います。このワクワク感、共有しませんか?
遥かな昔から目覚めた錬金術師の少女が自分の居場所を作り上げていくお話。師匠と二人での生活、師匠と別れての一人での生活。そんな彼女がスタンピードから目覚め、掛け替えのない人達と出会っていき自分の帰るべき場所がどんどんと出来ていく。何気ない日常の光景がとても大事に思えるお話だと思います。物語的には王国にただ一人になった錬金術師であり大きな運命を抱いていて彼女の力なくして悲劇は救えない王道的な展開をしっかりと盛り込みほのぼのとした日常に時々出て来るシリアス加減がいい塩梅のお話だと思います。なお現在1巻、2巻が発売中。読んでみて興味があったら是非おすすめします。とんかつ単体でも美味しいけどご飯に味噌汁にお新香を付けてがっつりと食べた感じになる読後感。おまけの錬金術レシピの説明が2巻で更にパワーアップしてました。
錬金術師マリエラが師匠から今日で卒業だと言われ、運命にころころ転がされていくお話です。 歌に例えれば『どんぐりころころ』。 錬金術師として1人前になったマリエラは追い出されはせず、師匠が失踪、魔物のスタンピード発生、仮死の魔法陣で落ち着くまで眠っていようとしたらドジで200年後に目覚めます。 王国は滅んでいて、迷宮都市に代わっていました。そして、迷宮都市には地脈と繋がった錬金術師が居なくなっていました。 普通の錬金術師だったマリエラは偶然結んだ魔法契約のおかげで普通に暮らすことを選びます。 しかし、200年後の世界なので錬金術師であることを隠して生活するのは大変です。 マリエラころころなのです。
「魔の森」のスタンピードによって滅びた。エンダルジア王国。主人公マリエラが目覚めたのは200年後。ポーションを作れる都市で唯一の錬金術師として生きていく文章も設定もしっかりしていて、ほのぼのとした中にもシリアスがきいているので読みごたえがあります。面白いです。主人公の錬金術師マリエラができる子なのにうっかりで鈍くて純粋で、でも達観していて好感がもてますし、登場人物がそれぞれに個性的で魅力的です。思い悩み、過去を背負っているのに前向きな主要人物達。きっとお気に入りのキャラが見つかるでしょう。読み始めたら夢中になると思います。お勧めします。そうきたか!!!を楽しんでください。作者様の ざっくりあらすじ が秀逸です
こんな面白い小説をなろうで読めるとは思いませんでした。日常パートの心温まる描写と、スタンピード後の迷宮都市や錬金術師の悲壮感漂う状況の双方が入り混じって、奥深い作品になっていると思います。世界観・設定もよく練られており、そこかしこに置かれた仄めかしや伏線が後々ぴしり、ぴしりと利いてくるので読んでいてとても充実感を味わえます。また、読み進めるにつれ、以前読んだはずの箇所が違った解釈で読めるようになるので、何度も読み返したくなると思います(私は実際に何度も読み返してしまっています)。一方で、なろうに多い、描写過多な小説や、敵役がヘイトを稼ぎ、それに対して仕返して云々といったそういう小説がお好きな方にはおすすめしないです。それぞれの描写に意味があるから深く読みたくなる、読み返してもまた楽しめる、読んだ後に何かが残る小説を読みたい人におすすめします。
最近になって様々ななろう作品を読むようにしているが、その中でも特にこの作品は和やかな雰囲気で他の作品と一線を画している。いや、これは個人的な意見なのでひょっとすればこれ以上に和やかな雰囲気で定評の作品が存在するかもしれない。しかし作品そのものの価値は変わらない。読んでいて偶にクスリと笑ってしまう事もあるし、時には少しだけジンと心に響く事もある。主人公の行動を見ているとなんだか年の離れた娘の日常でも見ている気分になる。僕自身はまだ未成年なのだが。実は(まだまだ素人の僕が口を出すべき事ではないが)視点が三人称なのか、それとも本人目線なのか曖昧になったりと不安定な部分も多いがそれも魅力の一つに数えていいと思う。書き手の成長は読者にとって、それこそ子供の成長を見ているかのような優しい気持ちになれる数少ない機会だ。まずは一度読んでみて欲しい。きっと和やかな気持ちになれるだろう。