評価:★★★★☆ 4.4
深月の祖父の書斎へ繋がる扉は、似て非なる書斎へと繋がる扉でもある。
そこにいるのは、人ならざるモノ。人の物語を喰らう存在。
ここにある本は全て、彼が喰らった物語。
「教えて。君の恋物語を」
ああ。残酷なヒト。彼が物語を喰らえば深月の恋は色あせる。
泣きたいような気分で、深月は語る。
深月の物語を。青年への恋物語を。全四話で完結。
秋月忍さま主催の『夜語り』企画、参加作品です。
話数:全4話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
祖父の書庫に足繁く通う少女・深月には、好きな人がいる。冬樹というその青年は、夜の書庫に必ず現れ、深月との穏やかな会話を続けていた。 だが、彼は只者ではなく……人でも無い。口伝てに聞いた物語を喰らい、語り手からその物語に纏わる記憶と想いを奪ってしまう、付喪神なのである。 そんな彼に想いを告げる。それはつまり、想いそのものを、彼の前で捨ててしまうことになるのだ。 純愛故のパラドックスに、苛まれる深月。果たして、彼女の選択は――? 遥彼方先生が綴る、「夜」の書庫を舞台とする儚くも美しい恋物語。想いを抱く少女と、想いを喰らう青年の、優しくて切ないお話です。 ぜひ、ご一読ください。
高校生の女の子深月は、祖父の家にある書架に足しげく通います。書架への扉を開ければ不思議な書庫へ通じる。常に夜のそこには、冬樹という美しい青年がいました。冬樹が目録に人の語る物語を綴ると、語ったことの想いは薄れていく。語る何かを忘れても、それでも深月は冬樹の元に通い、たわいない話を語ります。好きだから、ただただ会いたいから。そしていつしか冬樹は深月に求めます。「君の恋物語を聞かせて欲しい」あなたは忘れるとわかっていても、自分の想いを語ることができますか?深月の語る恋物語の行く末は、ぜひ自身の目で見守ってください。きっと涙が止まらなくなります。
少女が祖父の書斎で出会ったのは、古書の目録に憑いた付喪神。彼は、語られた物語を食べてしまう。すると語り手の中にあった、その物語についての記憶や感情は薄れるのだった。少女は付喪神に様々なことを語る。その日あったこと、体験したこと、感じたこと・・・付喪神は少女に言う。『だから教えて。君の恋物語を』それは残酷なおねだりだった。少女はその恋心を付喪神に預けていたが、彼にその恋物語を語ってしまえば、その恋は色あせてしまうのだから。さあ、あなたも、少女と付喪神の不思議で切ない物語に、身を委ねてみませんか?
誰かに話したくてたまらないこと、あなたにはいくつありますか? それは悲しかったことでしょうか。嬉しかったことでしょうか。それとも……。もしかしたらおしゃべりというものは、話題そのものよりも、話す相手こそが一番重要なことなのかもしれません。この物語の主人公は、読書好きな女子高生深月(みづき)。彼女は今日もひとならざるものに、彼女の体験である「物語」を捧げています。それが彼に贈ることができる、唯一の「愛」の形だからです。気持ちが色褪せてしまっても、記憶を思い出せなくなってしまっても、あなたが味わってくれるなら。そうして今日、彼女はとっておきの「物語」である「恋」を彼に捧げることに決めたのですが……。届きそうで届かない少女の恋は、月の綺麗な夜に、誰もいない静かな書斎で読みたくなるストーリー。儚くも美しい恋物語の最後は、もちろんハッピーエンドです。