評価:★★★★☆ 4.3
養父の繁雄を事故で失った女子大生・みのりは、通夜の日、彼の魂を地獄に運ぼうとする小鬼の姿を目撃する。重度のファザコンであるみのりは、それをとっさに妨害。すると突然床が崩落し、繁雄の魂とともに、冥府に堕ちてしまった。
宴狂いの閻魔王に会えたのをこれ幸いと、啖呵を切って、沙汰のやり直しをもぎ取ったみのり。が、その筆頭部下である美貌の鬼・宗の嫁取りを断った結果、繁雄ともども地獄に堕とされ、再審までの日々を、そこで過ごす羽目に。
泡立つ血の池、ひしめく亡者、非情な獄卒たち。再審まで生き延びるなど不可能に思われた地獄だが、…いや?意外に設備はぼろいし、獄卒たちにも隙がある。なんとか彼らを懐柔できないものか?
「見てなさい……。獄卒や閻魔大王の胃袋を掴んで、絶対に沙汰を覆してみせるんだから」
地獄の釜はフライパン、粉砕碓でみじん切り。養父の制止と、宗の誘いを躱しながら、地獄の沙汰をひっくり返すためのみのりの挑戦が始まる…!
話数:全22話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
死んだ養父に対して閻魔王が下した沙汰を覆すため、主人公が地獄で料理を作ることになるお話です。笑えて泣けて、甘酸っぱい思いもできる良作でした。また、読了後に舞台設定が気になり、作中に出てきた言葉を調べてみたら、凄く面白かったです。八大地獄の黒縄とか、十王とか、賽の河原の地蔵菩薩とか……知れば知るほど作者様の教養と、それを上手く話に落とし込む技量が感じられました。プロの料理と一緒で、自分が気づいていない部分でも、充分な下準備と、手間隙と、愛情をかけて絶妙な味付けをされているのだろうなーと推察します。まったく、中村先生の作品は絶品揃いやでー
父・繁雄のお通夜、愛する父の死を受け入れられずにいた主人公・みのり。すると、火車が父を連れて行こうとしている所を目撃。誰がどう見ても善人の父が地獄行きなんて納得いかない!舞台は地獄、煮沸消毒済みの拷問器具と亡者たちと共に、大好きな繁雄の地獄行きを阻止するため閻魔大王の胃袋を掴め!父の死から始まるハートフル地獄コメディー。泣いた。いや、号泣しました。
地獄ギャグ物かと楽しくっ読んでたら、後半のネグレクトとか涙腺崩壊。スカッと爽快。短編ながら、読後感の満足度高し。宗との絡みが恋愛感ほぼゼロのまま終われるのが、安易に恋愛に逃げなくても読めて良い。あと、調理方法は無茶苦茶なのに、料理の美味しさが伝わってくる食レポの力の入れようが面白かった。続きがでたら嬉しいです。
死は誰にでも訪れる。主人公みのりの養父である繁雄が事故で亡くなった。しかも地獄行きになった。大好きな繁雄の地獄行きを阻止するには――。閻魔王や獄卒を懐柔すればよい。どうやらヤツらは宴狂い。ならば胃袋をつかめ!目指せ極楽! 隙あらば生き返り!!しかし地獄には食材も調理器具も見当たらない。みのりの熱いクッキング、その火蓋が切られる!全22話、完結済みの作品です。みのりは、とにかくブレません。ブレないままに思いつき行動する姿に惚れ惚れします。みのりの発想する調理に、聖地巡礼が楽しみになってきます。しかしここは地獄。あくまでも地獄……。果たしてみのりは、料理で大切な繁雄を救うことが出来るのか。そして読者は、作中料理の誘惑に抗うことが出来るのか。ぜひ読んで確かめてください。ありがとうございました。
最初からジェットコースターに乗ったような楽しい展開!笑いとツッコミの嵐!!そして、まさかの号泣不可避!!!これは人前で読んではいけない。いきなり笑い出す。いきなり泣き出す。一人の時に読みましょう。笑そして、飯テロでもあります。夜中に読むときは覚悟しましょう。憎めないキャラが満載です。最初は恐そうなキャラもあら不思議、とってもチャーミング!笑キャラ設定がうまく、またそれぞれの心情描写が素晴らしいです。そこには愛があります。そこには哀があります。泣いたとしても、その涙は暖かい。なのに、最後はツッコミ満載です!笑
お話の舞台は大部分が『地獄』です。 ただし、地獄とは言っても、そこで響くのは亡者たちの苦痛の叫びではありません。 亡者たちが気合を入れる掛け声と、うまい飯を喰った時の喜びの声、あと、少々のツッコミです。 地獄に包丁を持っていけるわけがないのはわかるけど『それ』使っちゃうの?? まあたしかに、熱源がないと鍋料理は作れないよ、でも燃料『それ』でいいの?? などなど、主人公「みのり」の発想と行動力にツッコミを入れたくなること間違いなし、だと思います。 そして、調理過程は謎だけど料理の描写が美味そうなんだこれが! 地獄だけどグロ要素とかはないので、そういうの苦手でも安心して読めます。 っていうかこの地獄、ダメージが多分ドリフとかのほうが上っ!!
恋愛に、至るまでのお話だと私は思いました。ただ、ヒロインの心の中には不動の地位を占めるおっさんが居ます。おっさんの為なら、地獄にも逝き(行き?)神であろうと鬼であろうと戦う。不思議な女性。地獄懐柔作戦で、調理器具類を一切使わずに、極上の料理を作り出します。読んだ翌日に、同じ料理を食べたくなります。食事の描写並びに、心への訴求力そして小さじ一杯の、恋このお話は、見方を変えると初恋への別れから新しい恋の始まりを垣間見えます。…..しかーし、ハートフルでホットな内容な為どちらかと言うと、感動と笑いが来てしまう。中村颯希先生の!恋愛もの処女作爆誕です。良いですか?大事なことなので、もう一度恋愛ものぽいっ処女作爆誕です。さあ皆々様、一緒に颯希先生の恋愛もの初挑戦を読みましょう。まだ見ぬ颯希先生・ザ・ワールドへ御一緒に(笑)
地獄の沙汰も金次第?いやいや、ケ◯を拭く紙にもなりはしないと世紀末救世主伝説でも語られているではないか。最後に物を言うのは、そう、『メシ』の力である。食うことは生きること。仏様でもご飯をお供えするのだから、死してもメシから離れはしない。閻魔の沙汰を覆すため、地獄絵図から始まる「みのりの殺伐クッキング」無理を通して道理を蹴っ飛ばす。破天荒な調理風景は「地獄って何だっけ?」「これで腹が減ったら負けだと思う」とご近所の浮遊霊達にも好評だ。読んでも腹は満たされないが、笑い転げて腹筋が鍛えられる事請け合いである。ああ、だけど。言動は無茶苦茶なのに、何故かほろりとしてしまうのだ。文字を食べれる訳が無いのに、何故か「ハラァ……いっぱいだ」と心が満たされるのだ。おむすびの塩っぱさに感情が波立たされるのだ。笑いから涙まで、心の栄養を補給できる物語。体と心をメシで繋ぎ、人は今日も生きていく。