評価:★★★★☆ 4.4
修行の旅に出た新米僧ふたり。あっという間に一文無しになり、切なく腹を減らしていると、男が助けを求めてくる。「祈祷をお願いします!」男は荒れた底辺高校の教頭だった。ふたりは崩壊学校を建て直すべく、動き始める。拳で。 テツとお市のハラペコ坊主デュオ・第二弾
おやすみ前の読書にぴったりの安心仕様。ハートフルで、ちょっぴり笑い。読後、ほんわか幸せな気分になりたい方むけ。
話数:全25話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
二人のイケメン僧侶が、修行の旅に出るついでに世直し行脚をするお話です。読んでいてとても気持ちよく、それでいて色々と考えさせられる、所謂ネットで読める説法のような小説です。荒れ放題の高校を立て直すべく孤軍奮闘していた先生の元に、件の二人の僧侶が現れます。悪ガキというには行き過ぎた悪行を繰り返す生徒たち。現状を悪い物と分かりつつも変化を嫌い石のように固まり、気配を消して暮らす教師たち。改革を望みつつも、力が伴わず苦悩する教師。それぞれに悩みがあり、キャラクターたちの内面が描かれていくにつれて、物語に引き込まれていきます。シリーズ二作目となりますが、時間軸はこちらの方が先であることと、前回は舞台が農家であったのに対し今回は高校で、こちらの方が入って行きやすいのでは無いかと思います。1話1話が短いので、一気読みがおススメです。そして未読の方、朗報です。この連載は完結しています。
スーパー坊主ユニット、テツandお市の第二弾。修行の旅の途中またもやトラブルに巻き込まれる。敵は不良高校生? まずはとにかく読め。キャラクターが多い?学園物のお約束、とにかく読め。頭の中を入り乱れるキャラクター達が血肉をまとって駆け回る。途中で絶対お気に入りが出てくる。話は単純かと思いきや、裏で巧妙な罠が仕掛けられている。読み始めたらもう足元は絡めとられている。 とにかく先へ先へと読み進まずにはいられなくなる。 読み口はライト。決して斜に構えることはない。痛快娯楽活劇が好き。人情物に弱い。そんなとっかかりでウェルカム。読み進めれば作者の知識量や情報収集能力にまず気付く。練り上げられたアイデアが襲いかかる。途中何度も作者に横っ面を張られる。まだ隠し球持ってるのか、この作者。あの手この手で揺さぶりをかける。笑顔で人を殴れるタイプだ、この作者。
日々のオアシスとなる娯楽小説を探す方々よ、私の朋友たちよ!皆さんにこの作品をお薦めする。スーパー坊主デュオ:テツとお市の痛快な“渡世”の物語を。前作共々、主人公2人が“世”を“渡”る様は、荒野を行くカウボーイか、はたまた無頼の素浪人か。ハチャメチャなくせになぜか好感が持てる、天然読者タラシどもだ。行く手に待ち受ける困難は、妙なリアリティを持って21世紀の殺伐をまとっていて、不穏で怖くてドキドキさせられるが、魔法の剣も超能力も持たない主人公たちは、仏様のご加護と、僧衣の下に秘めた正義感と、ハラペコ窮鼠の若いエネルギーで敵を粉砕してしまう。その様が、“いよっ、待ってました”なカタルシスなのだ。独立してこれだけ読むもよし、前作から読むのもよし。ユーモアとケレン味と現実感のバランスが絶妙。その辺は、ずいぶん吟味して書いているのだろう。小説の神もまたディテールに宿るんだな。