評価:★★★★☆ 4.3
大学受験に失敗した比良坂晃(ひらさかあきら)は、心機一転イギリスの大学へと留学する。
古ぼけた学生寮に嫌気のさした晃は、掲示板のメモからシェアハウスのルームメイトに応募するが……。ひょんなことから始まった、晃・アルビー・マリーの共同生活。
美貌のアルビーに憧れる晃は、生活に無頓着な彼らに振り回されながらも奮闘する。
一つ屋根の下、徐々に明らかになる彼らの事情。
そして晃の真の目的は?英国の四季を通じて織り成される、日常系心の旅路。
話数:全192話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
日本人の幼気な少年が大きなカレイドスコープを覗き込む。不思議だよね。ワンドの中に入っているのはビーズだとか色のついた砂なんかだっていうのに、覗いたらまるで別世界。はじめはなんてことのないイギリスの景色。そこで出会った白雪姫みたいに綺麗な青年。アルビー。次第に見え始める彼の闇。妖精王、とりかえっこ。なつかしい日本の景色。黄泉比良坂、黄泉の国、そして時空を超え、常若の国ティルナノーグ。燃えた精霊、サラマンダー!見つめていたはずの君は、いつの間にか僕自身になっている。同じ空洞を抱え、闇を抱え、君も、僕も、そして彼も。
イギリスのあるところに美しい男の子がいました。名前はアルビー。彼は白雪姫もかくやと思わせる美貌でした。けれど悲しい子供でした。成長したその子は快活な幼馴染の女の子・マリーと、それから日本人の留学生の男の子と共同生活をすることになります。彼は次第に打ち解けていきます。白薔薇が綻ぶように。日本人の男の子の名前は晃(あきら)、コウと呼ばれています。無邪気でまだ幼く、家事能力の高さをマリーたちに買われています。大人びたミステリアスな魅力を持つアルビーに対して、コウは非常に人間的でチャーミングです。美しいものは美しく、細部まで描かれ、食事は実に美味しそうに。萩尾さんの作品の美点と言えるでしょう。コウはまだ、白薔薇香るアルビーの傍らで眠っているようです。さあ、これからどんな覚醒が起きるのでしょうか。