評価:★★★★☆ 4.2
「ここに記したことこそが、私が目にした真実である。」
その物語は、19世紀フランスで執筆されたものが原典だろう。
時には分岐し異なるストーリー展開をしながら、心惹かれた者達によってあらゆる言語に翻訳されてきた。
その物語はなぜ記され、何を記したかったのか。
誰に愛され、何を遺したのか。名もなき文学作品と、その読者たち。
……そして、激動の時代に生きた人々を繋ぐ物語。《注意書き》
※感覚的に違和感があったので段落冒頭での字下げや記号のあとの空白挿入を行っておりません。カクヨムの方では字下げを行っているので、どうしても気になる場合はそちらをお読みください。
※現実世界のあらゆる物事とは一切関係がありません。『咲いた花、そして空の鳥へ捧ぐ物語』という文学作品も架空の作品です。
※この作品には舞台背景の都合上暴力的および差別的な表現も含まれますが、犯罪や差別を助長・肯定するような意図は一切ございません。
※特殊性癖や一般的でない性的嗜好の表現もちらほらあります。キャラクターそれぞれの生き方、それぞれの愛の形を尊重しています。
話数:全57話
ジャンル:エピック・ファンタジー
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
■文章内書籍と言う手法がある。一つの作品、一つの物語の中でとある架空の書物を一つ設定してそれもなぞり、内容を追うことで、もう一つのマクロ的視点の物語が進む――、そうした多視点的シナリオ手法である■本作は一冊の一冊の書物『咲いた花、そして空の鳥へ捧ぐ物語』が紙面上の読者に対してその存在が語られるところから始まる。100年以上前のいにしえの書籍、そしてその中に書かれた物語がいかなるのものであるのか? 考察されることでシナリオは進む。革命をそのテーマとして内包していること、複数の人物によって執筆され翻訳され、時には異なる版が存在していること、そして、決してシナリオは幸せのうちに終わることなく血塗られた物語がその紙面の中に痛々しいまでに丹念に描かれているのだ――■プロット難易度は恐ろしく高い。それをやってのけたのが本作だ。多くの人の視点で描かれた〝物語〟の真実にあなたは辿り着けるだろうか?