評価:★★★★☆ 3.8
これは一人の少年が一人の少女を追い求める物語。
時は中世、多くのものは知らないがこの世界には魔法が存在する。
貿易街の大商人の息子アランはある日、旅の少女ヨナと出会う。
そして彼女が魔法使いであることを知る。
しかし、ヨナへの告白と同時に彼女は旅に出てしまう。少女と魔法を追い求めるように旅に出るアラン。
その先にどんな出来事が待ち受けているのだろうか。リアリティに重きを置く魔法ファンタジー!
カクヨム様、セルバンテス様にも掲載中です。
話数:全33話
ジャンル:アドベンチャー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
序盤のシーン、主人公が何かを考えているのだな、と読者に気が付かせるシーンが素晴らしいです。そのときの格好良いセリフも良いですね。リアルでありながら、もし魔法があったなら、というテーマを、うまくこの物語のフォーマットに落とし込んでいる印象です。一つ一つのセリフも、丁寧でテンポいいです。静かなファンタジーですが、内面は動きがあります。
主人公を含め魅力的なキャラクターが多く登場します。そして、キャラクター事にしっかりストーリーが用意されていてかなり楽しめました。 会話のテンポも良く、話の展開も綺麗に進んでいくのでとても読みやすかったです。描写もしっかりしていて情景が想像しやすく、読者を惹きつけるのが上手い作者様と思いました。 今後の展開がとても楽しみな作品です、是非読んでみてください。
何かに打ち込むということは、ある種、近視眼的になってしまうことと同義なのかもしれない。変わり映えのしない忙しい毎日に、漠然とした不安を抱いている一人の大商人の息子、アラン。そんな、彼の人生を変えてしまった旅の人。銀色の髪を持ち、少し焼けた肌、銀の瞳、艶やかな唇、そして、どうやら『訳アリ』順風満帆な人生を、将来の見えた生活を退屈と思ってしまう。贅沢な悩みではあるが、共感できる。その中にあって非日常を魅せてくれた存在があったのであれば、惹かれてしまうのもわかる気がする。本作の主人公であるアランが、『魔の民』であるヨナを忘れることができなかったのは、美しかったから、なんて単純なものではないのかもしれない。目的が明確な旅だからこそ、それに辿り着いた時、彼がどうなってしまうのか。ひとつの物語として、先々が気になる作品というのは意外と少ないのではないでしょうか。
富豪の父を持つ商人見習いの少年と、魔法が使えることで迫害を受けてきた少女の、ボーイミーツガール的な作品。派手な戦闘やチート無双に頼らず、少年が静かに心情を吐露しながら語られる物語は、現実的な世界観とマッチしていて、緩やかな没入感を読者に与えてくれます。決してクオリティの高い作品ではありませんが、設定を活かし改稿されていけば、今後読み応えのある良作に化けるのでは、という期待感が持てました。