評価:★★★★☆ 4.2
ソニア・カーネリアンは救国の魔女の一人娘。しかし盟約に従い招かれた婚礼の儀で、王子から婚約破棄を言い渡され、悪の魔女だと糾弾されてしまう。
「原作なら怒り狂って“らすぼす”化だけど、私はそんな間抜けじゃない」――ソニアは前世を覗いて得た“あにめ”の知識で危機を脱する。そして侮辱の仕返しに王子の騎士を手に入れて……。
※【本編完結】【外伝完結】【続編完結】しました。
※【書籍化】アリアンローズ様より「らすぼす魔女は堅物従者と戯れる」全2巻発売中です。電子版もあります。よろしくお願いします。
話数:全94話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
主人公が良い意味で強欲。それ故に己を高めることに勤しんでいたり、思慮深く人間らしさもある。そして血塗られた国の歴史と己の運命に立ち向かっていく姿と、潔さが爽快で読んでいて気持ちがよい。キャラクターがそれぞれに人間臭さがあり、自分に近しいものに贔屓してしまう姿には感情移入ができた。主人公も含め。最後の話の幕引きも、二人の今後を読み手に想像させる終わり方で実にスマートな終わり方であった。世界観や構成が素晴らしく、違和感を感じる部分が少なく、異世界モノは読みずらいものが多いがすんなり読めた。是非もっと世に出してほしい。
序盤こそよくある婚約破棄モノの流れで話が進んでいきますがその後の展開が斬新かつ秀逸で、伏線に伏線を重ねたストーリーの流れに感動します。主人公が魅力的で、冷静で頭が良く冷酷だけど基本的には穏やかで優しく、自分自身の力で自分の人生を前向きに生きていこうとする姿がとても良いです。(個人的に、主人公が自分を悪人だと言いながら基本的に善行ばかりを行っているところが好き。)世界を滅ぼす魔女だと予知されながら、その運命を自力で回避しつつ、ついでに「最萌」であるキャラを手に入れようとする―――タイトルからは予想できない、シリアスで(微笑ましいシーンもありの)重厚なお話になっています。終盤の謎が明かされていくシーンにはきっと驚かされるはず。多くの人に読んでほしい、欲を言えばぜひ書籍化してほしい作品です。
ここしばらく婚約破棄系ざまぁモノが多数生み出されました。 そして、本作は導入こそ、それらのテンプレを踏んでいますが、破棄後の展開と設定の奥深さは、群を抜いたレベルです。キャラクターたちも悪役含めて、魅力満載です。 主人公とヒロインポジの騎士ヴィルのキャラクターが魅力的なのは語るまでもないとして、悪役側のキャラクターもよくもここまで外道になれるなあというキャラから、悪役になってしまった、というポジのキャラまで本当に生きている感じです。 ネタバレしてしまうと申し訳ないのでこれ以上は、もし少しでもこのレビューから興味を持っていただけたら読んでいただきたいです。 最後に一読者の勝手な希望としては、書籍化してくれないかなあというところです。
“魅力的な主人公としっかり練られたストーリーに良い意味でやられました。この作品は「悪役モノ」小説の中でも、主人公(女性)が群を抜いてカッコよく、突き抜けています。なろう作品だと「魔王アルリリアの報われない日々」や「私は戦うダンジョンマスター」の主人公達と似た、潔さのある主人公だと思います。主人公は、生い立ちや周囲を取り巻く環境のせいもあって決して清廉潔白ではありませんし、愛され守られてきた””傷一つない綺麗なお姫様””ではありません。しかし、だからこそ努力し、矜持を持ち、地に足を着け、言い訳せずに「自分の為」に進んでいきます。踏みにじられ泥にまみれても、強く、気高くあり続ける、ちょっと潔癖で不器用な主人公。そんな彼女をハラハラしながら見守り応援してしまう、そんな作品です。また、世界観や物語の構成も丁寧なので、安心して読め好印象です。”