オズの箱

昔、昔のその昔。
オズという大魔法使いがいた。
大魔法使いオズがその膨大な魔力を一つの箱を込めたというそのオズの《箱》は、夢と希望が詰まっていて、開けた者の願いを叶えてくれる。

そんな誰もが知ってる昔話があった。

ただの昔話。
ただの伝説に過ぎない。

それでもそんな昔話に、伝説に縋ってでも叶えたい願いが彼等にはあった。

世は百年も続く戦争の最中。
代理戦争とも人形戦争とも呼ばれた戦争は魔力をもとに動く人形、《魔導式人形（マリオネット）》が人の代わりに命を燃やしていた。

そんな魔導式人形（マリオネット）達の部隊の中にひとつ、特殊な部隊があった。

人間でひとりだけドロシーという少女が在籍する部隊があったのだ。人間であるドロシーと魔導式人形（マリオネット）であるレオ、ブリキ、スケアクロウ。彼等にはそれぞれに叶えたい強い願いが抱いていた。

任務の合間を使ってオズの《箱》を探す事にした彼等はそれぞれの願いを心に秘めて、ついに大魔法使いオズが住んでいたとされるエメラルドの街までやって来た。

魔導式人形（マリオネット）と人との間に生まれた愛。愛が紡ぐ《箱》を巡る物語。