評価:★★★★☆ 4
とある客船の航海士だった主人公は海難で命を落とした。
しかし目を覚ますとそこは1540年代の瀬戸内海?!兄は村上水軍最盛期を築くこととなる村上武吉。
本来は存在しなかったはずの次男として生きる主人公。しかし、時代は残酷であった。
いくつも襲い掛かって来る困難。
出会い、別れ、死、生。
数多の困難を超えて彼は生きていく。
話数:全30話
ジャンル:エピック・ファンタジー タイムトラベル
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
この物語を読み進めていくうちに「歴史小説は誤魔化しがきかないファンタジーである」と、ある知り合いの歴史小説家の言葉を思い出した。日本最大の海賊をどのように描ききれるか、筆者の博学豊かな知識に脱帽するともに是非とも海に生きた「漢」の生き様を描いてほしいと思う。転生と歴史を掛け合わせるのは最近のトレンドではあるものの、筆者の推敲力と描写力が問われる難しい分野だろう。日本史なら猶更だ。 忘れてはならないのが、紙の文学、もといネット小説でありながら、この小説からは潮の香り、風の音、男たちの息遣いが聞こえてくる。気がつけば読者を戦国の瀬戸内海へと導いてくれる。数十年前「飛べないブタはただのブタだ」といったある有名な台詞が流行ったが、この小説を読んで「瀬戸内海の潮と風を感じることができないワラビはただのワラビだ」と吾輩は声を大にして言いたいのである。
本作品は、連載開始するやまもなく、歴史文芸ジャンルの日間ランキング上位にランクイン。そして、何とも短期間で、あれよあれよという間に、1位にかけ上がった。 作者は、操船に関する専門的な知識を有し、また、作者が別に投稿されている小説の記述から、歴史と軍事に関する該博な知識を持たれているということは、容易に推察できる。 その作者が描く村上水軍。作者の専門性と高度な知識が活かされる格好の対象ではないかと思う。 寡作で、一作、一作を丁寧に書き込まれる作者の、満を持しての本作品。今後の展開に期待したい。