骨董店を改築して作ったというアンティークな雰囲気の漂う喫茶店は、一見して喫茶店とわからない店構えにもかかわらず、常連の客によって支えられている。
開店前、店主が磨くのはアンティークのカップ、売ればそれなりに高値が付くのであろうことは、素人目でもわかる代物だ。
店主は女性にしては背が高く、色気のある艶やかな唇の右下にある黒子が印象的な、ギャルソンエプロンのよく似合う人物。
謎に包まれた、そのミステリアスな雰囲気が素敵というのはこの|世界《ゲーム》のヒロインの言葉だ。
そう、ここは乙女ゲームの世界の中で、店主もまたその乙女ゲームの登場人物の一人である。乙女ゲームの内容について話そう。
この乙女ゲームは、男の娘やオネエキャラを攻略していくもしくは攻略されるという、ちょっと変わったゲームになっている。
後輩の男の娘や親友のオネエ、先輩の隠れオネエに教師のオネエ、隠しキャラの喫茶店の店主。そう言ったキャラクターを攻略していくのである。
もっとも親友に関していえば、どちらかと言えば攻略されると言ったほうがいいので、一概に攻略ゲームとは言えない作品だ。そう、この喫茶店の店主こそ、攻略対象の一人であり、オネエであるのだが、一つバグが発生してしまっている。
それは、この人物の中身がこのゲームをひ孫と遊んでいたという90歳のおばあちゃんだということだ。
いわゆる転生というものなのだが、なぜ自分がと転生した当初は思い、性別の違う体に戸惑ったりもしたものだが、転生して1年もすればすっかりと男の体にも慣れ、喫茶店のマスターとして業務を遂行できるようになっている。そして今日もまた、お客様が一人訪れる。
※誤字脱字は持病です、特効薬(ご指摘)お待ちしております。
※アルファポリス・小説家になろうで掲載。
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