セシャトのWeb小説文庫2018

ある時は現世の狭間にあるとでも表現すべき、どこか妖艶な古書店の店主が。ある時は自らを神様と名乗る生意気そうな金髪の少年が。ある時は自信満々、スカートのフリルを揺らしエナジードリンクを片手に立つ少女が。数多ある実在のWeb小説をその手に、作品を物語の中で扱い、取り上げ、紹介してゆく不思議な物語。この不思議な登場人物たちが織りなし、心惹かれる世界の中で語られる物語の中の物語は、様々な形で読者へとその存在を愛のままに語られる。紹介作品は只の添え物などではなく、確かに感じられる深い読解力と考察力からその魅力を彩り語られ、綴られ、この世界を取り巻く物語を繋げていく。この小説を紹介する小説は、何とも愛に満ちている。その愛に充てられた時、貴方はこの古書店に並べられる本を手に取りたくなる筈だ。それが本作の堪らない魅力だと、心より想う。

この作品は、まさに、ウェブ小説の海を泳いでいく為の羅針盤です。数多くのウェブ小説で溢れる小説家になろうという大海。その海底には、財宝を秘めた沈没船の様に、まだ誰も知らない名作、沢山の作品に埋もれてしまった良作が数多く犇めいています。この作品は、その荒波の中で、読者に一体何を探せば良いのか、その指針を明確に示してくれるのです。そう、この作品で紹介されている作品は、どれもがいずれ勝るとも劣らぬ超のつく良作。まさに読むべき作品なのです。そんな素晴らしい良作を、ただ単に紹介するのではなく、敢えて物語形式にし、紹介してくれる。そうして、物語形式という珍しい形式を取ることで、読者の心や頭にもその作品のことが印象深く刻まれ、作品が二度となろうの大海に沈んでしまうことはない。そんな、良い意味で緻密に計算され、尚且つ、ウェブ小説というものへの愛に溢れた素晴らしい作品なのです。

どうせ読むなら、面白い小説が読みたい。自分で探すのは大変だから、目の肥えた人にオススメしてもらいたい。このページを開いた人なら、わりとよく思うことではないでしょうか？この作品は今なろう作家がtwitterを開けば見ない日はないであろう人が書いている、おすすめ小説を題材にしている作品です！おすすめ作品を列挙してるブログみたいなのでしょ……違います！とある古書店のお姉さまが、客のショタくんなどに実際のWEB小説を紹介しているという、物語形式で他作を紹介している新しいカタチの作品なのです。もちろん、紹介されている作品のあらすじや魅力も、これを読めばわかります。その作品を読みたくなるのは勿論ですが、同時にのんびりとした日常系の小説を読んでいるようにもなれてしまうのです。月に一冊のペースで紹介されるおすすめ作品を、この喫茶店で皆さんも読みたくなること間違いなし！な作品です。

綺麗なイラストに目を奪われて読み始めました。すると、イラストに合ったキャラクターによる本当にあるネット小説の紹介をする物語が展開される珍しい小説が始まります。読み進めると物語と分かっていながらも不思議と心を打たれました。誰にも読まれないまま消えていく作品もあるという一節がこの物語の伝えたい事なのではないでしょうか？そして、本作で紹介されている小説を読みたくさせてしまうのも斬新です。控え目に言ってセシャトさんの文章は読みやすく、分かりやすくレベルが高いと思います。セシャトさんの書かれる普通の小説も読んでみたいと思います。秋文君がセシャトさんに恋心を抱いているのも今後の展開が気になります。これからどんな小説を紹介してくれるのか楽しみです。