評価:★★★☆☆ 3.1
──僕がこの侯爵家に養子に来てから早8年。
ずっと後を追っていた美しい義姉は、今日の卒業パーティーが終われば王城へと上がり、婚約者である王太子殿下と結婚することになるだろう。
大切な義姉と、兄のように慕った殿下の結婚を心から祝いたいと思う。
けれど、なんでかなぁ。
僕は、どうしても並ぶ二人をまっすぐに見られないんだ。ねぇ、姉さん。貴方はもう忘れてしまったかな?
幼い僕が泣きじゃくりながら言った戯言に、貴方は小指を絡ませ『約束』だと言ってくれた、あの日のことを。
僕は今でも、あの時抱きしめてくれた貴方の熱も、絡ませた小指のするりとした感触も、蕩けるような笑顔も、甘く僕の名を呼んでくれる声も、なに一つ忘れられずにいる。
この感情に名前をつけることも、貴方に伝えることもない。
けれど許されるなら。
一つだけ教えてほしい。──姉さん、貴方はあの日の『約束』を今でも覚えていますか……?
**********
※弟が、義姉へ抱えた思いを、卒業パーティーの一日を通して独白するお話です。
※弟はヘタレ、義姉は転生令嬢のちょっとあれな人です。
心温かな読者の皆様には、「このヘタレがぁ!」と言いながら応援していただけますと嬉しいです☆※転生悪役令嬢、ヒロイン、乙女ゲー等出てきますが、弟目線のため要素薄いです。ざまぁもありません。
※13話(+1話おまけ)で完結です☆
話数:全14話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象