評価:★★★★☆ 3.8
今から遠い未来、そしてここではない異世界に寂れたコーヒーショップを経営している少女がいた。
彼女は人間ではない『アンドロイド』。しかも、並大抵の人間ではかなわないほどの強さを持ったアンドロイドだ。
コーヒーショップというのは表向きで、本当は博士に命令された『意地汚い、人類すべてを殺す』という目的のために日夜人類を滅亡させるための算段を整えていた。そんなある日、店に一人の少女が訪れる。彼女も人間ではない『幽霊』で何故かこちらの目的を知っていて、それを阻止しようとやって来たのだ。
アンドロイドはそんなこと聞き入れないと反抗したが、幽霊もタダモノではなく、アンドロイドと互角に戦いあう。アンドロイドは幽霊という存在に驚きながらも「何故止めるのか」と聞いた。
彼女は笑いながら、「正しい人の生き方、教えたる」と言った。
戦いでは勝てないと判断したアンドロイドはしぶしぶその提案に従うことになる。これは、人間を殺すアンドロイドが人間になるまでのお話。
話数:全28話
ジャンル:
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
突然始まる異世界転生……かと思いきや、なんと主人公は別に居た。 産みの親である博士から人類抹殺を命じられた冷静沈着な女性型アンドロイドは、世を忍ぶ仮の姿として喫茶店を営む。そして突如、そこへ現れた関西弁を話す幽霊少女はそのアンドロイドを「人間にする」ためにやって来たという。 ヒトならざる二人が出会った時、この喫茶店の物語は始まる。 はじめは幽霊少女に振り回されるアンドロイドだったが、次第に二人の間には奇妙な友情のようなものが芽生え、どこか人間らしくなっていく。その過程は丁寧で心情もしっかりと描写されている。 よくある異世界ファンタジーではなく、ほどよい捻りが利いた世界観と設定は新鮮味を感じる。主人公二人のキャラも重すぎず軽すぎず、読み進めるうちにアナタはこの作品に引き込まれていくだろう。 この不思議な二人がいる喫茶店へ、どうぞお越しください。
本作は、人類滅亡を命じられたアンドロイドが、押しかけて来た幽霊とともに喫茶店を営む物語。やや情報量が多い気がするが、その通りなのだから仕方がない。まずは一読してみていただきたい。テンプレファンタジーには見られない、独自性に驚くだろう。もちろん奇抜なだけでなく、きちんと筋の通った物語が展開され、世界観や設定もその都度必要な分だけ小出しにされていく。しっかりとした文体で描かれ、地の文体とセリフのバランスも良く、読んでいて苦にならない。シーンの展開の仕方も見事で、読み手が驚きを持って読み進めることができるよう、工夫が凝らされている。アンドロイドと幽霊。ならざる者たちが営む喫茶店。気になった方は是非一度、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。